第123話 ドレミ、ファソラ、シドの帰還
「100億!!!!」
私は驚きのあまり、マーニャさんの顔に触れそうな距離まで自分の顔を近づけた。
「ええ。むしろ、最低で100億よ」
「お、お、お•••」
うまく言葉が出せない私の横で、ララさんとリルさんも整った顔が台無しになるほど大きな口を開き、固まっていた。
「けれど、今日すぐに用意できるのは10億円になるわ。それでも大丈夫?」
「大丈夫です。残りは正確な売値が決まってからでいいですよ」
「助かるわ。10億円はすぐにギルドカードに登録しておくわね」
「はい」
これでアミューズメント施設が建設できる。
ただ、正直、100億円は想定以上に大きな金額だ。
元々は8億円のアミューズメント施設を建設するために用意してもらったダイヤモンド。
差額が大き過ぎるので、魔王国ブレイスワイトに戻ったらキャサリンと相談しないと。
「じゃ、私はそろそろ帰ろうかな」
「あらマリー。あなたリルから魔物討伐のこと聞いてないかしら?」
「聞きましたよ」
「なら、申し訳ないけどお願いできないかしら」
マーニャさんは、らしくない上目遣いで私を見ながら言ってきた。
そうだった。
すっかり忘れていたけど、討伐してきた魔物も引き渡さないとね。
「魔物の討伐は全て終わりましたよ?また、地下に討伐した魔物を出せばいいですかね?」
「えっ!?」
「「えっ!?」」
マーニャさんの後に、ララさんとリルさんも同じ反応を見せる。
「ん??」
私はマーニャさん達が驚く理由が分からず首を傾げた。
「だ、だって、マリーがギルドラウンジに来たのは1時間ほど前だと聞いているけど」
「大体そのくらいですね」
「1時間でどうやってあの生息地がバラバラの魔物を退治できるのよ!!」
「そうですよー。帰りは転移できても、行きはドラゴンのスピードでも1時間では不可能です!!」
マーニャさんの疑問に、依頼をお願いしたリルさんも頷く。
う〜ん
そう言えば、マーニャさん達は悪神になったことを知らないんだった。
どうするか
いや〜、人間止めて神様になっちゃいましたー、って話してみようか?
「はぁ〜。分かったわ。マリーだから、そう、理由はマリーだからで納得するわよ」
悩んでいる私を見て、マーニャさんはため息混じりにそう言った。
よ、よかった
それから私は地下に移動し、クイーンヒドラ(S) ×1体、ニンブルタートル(S)×3体、クルースメイス(S)×115体、ドリームバク(A +)×1体、デビルエレファント(A +)×1体を『アイテム収納』から出した。
「こ、これは•••」
「す、すごい•••」
「王都から金貨が無くなってしまうぞ•••」
積み上がった魔物を見て、ララさん、リルさん、マーニャさんは再び驚いていた。
マーニャさん曰く、換金した魔物のお金も後日、振り込んでくれるということだった。
それからマーニャさん達にプリンをご馳走し、私は『転移スキル』で魔王国ヴィニシウスに向かった。
ドレミ、ファソラ、シドを迎えに行くためだ。
私が転移したと同時に、ホルンが吹かれてフシアナ達が集まって来たのは言うまでもない。
フシアナに簡単に経緯を説明し、ドレミ、ファソラ、シドを連れて魔王国ブレイスワイトへ戻った。
魔王国ブレイスワイトに転移すると、キャサリンと取り巻きのサキュバス達は、私が出かける前に用意していったプリンやクレープ、ステーキ、ミルヒィーユカツを食べながら笑顔で談笑していた。
私が出かけてからまだ2時間経っていないから宴会の途中なのは当たり前か。
それにしても、出かける前にあれだけいた魔族の男達の姿がない。
どこかに行ったのかな?
「マリー様!!お戻りになられたのですね」
転移してきた私に気づくと、キャサリンは小走りで近づいてきた。
キャサリンの無駄に揺れるお胸を見て、私は自分の胸を無意識に見てしまう。
成長期•••
あれ?
悪神に成長期はあるの?
私がこの場にいる誰もが想像できない、あまりにもレベルの低い考え事をしていると、ドレミ、ファソラ、シドが泣きながらキャサリンに抱きついた。
そうだよね。
久々の再会だもんね。
キャサリンもまた、3人を抱きしめながら泣いていた。
しばらくして泣き止んだキャサリン達は、私の前で跪き、あらためてお礼を言ってきた。
私は跪く4人を止めようとしたが、キャサリンと食事をしていたサキュバスや周辺にいたサキュバスも集まり、同じように跪いてしまった。
うん
簡単に言うと、私の目の前にはすっごく色気がある約50人のサキュバスが跪いている
こっちこそダイヤモンドの、100億円のお礼をしなければいけないのに•••。
けど、無事にドレミ、ファソラ、シドが帰ってこれたのは嬉しいな。
今日はみんなでお祝いだね。
そう考えていた時、野太く、そしてどこか可愛く思える声が聞こえてきた。
「マリー様ーーー!!」
「モウモウ、いっぱい狩ってきましたーーー!!」
「褒めて下さーーーい!!」
「結婚して下さーーーい!!」
魔族の男達が大量のモウモウを持って帰って来たのだ。
そうか、モウモウを狩に行ってくれてたんだね。
その日はモウモウのステーキ、すき焼きで朝までお祝いの宴が続いた。
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