神様を脅して6,000のスキルを貰い、魔神からも威圧スキルを貰って、転移された異世界を幸福度上位の世界にノシあげる。
第69話 The truth that cannot be exceeded、超えられない真実
第69話 The truth that cannot be exceeded、超えられない真実
『どういうことかしら?』
シンは首を傾げる。
「この世界は、確かに私が日本に居た時と比べると文明も発展していないし、かと言って魔法もない」
『そうね』
「だけど、これまで私が過ごしてきた感想としては、そんなに酷いとも思えなくて。確かに悪い人もいるけど、良い人もいっぱいいるし。本当に最下位なのかなって•••」
『そう言うことね』
シンは納得したように頷く。
シンはモニター画面に全120,217個の世界を表示させる。
ただ、文字が小さくて詳細は読めない。
『この世界、宇宙は120,217個あるの。地球もその内の1つよ』
「宇宙がそんなにあるの?」
『そうよ』
「けど、宇宙の数と世界の数が同じなのは何でなの?」
『良い質問ですね』
シンは人差し指を立て、地球で有名な台詞を笑顔で言った。
『1つの宇宙に、世界、分かりやすく言えば星は1つだけ』
シンは再びモニターを切り替える。
惑星名:VZ4056W361(地球)
宇宙名:ミーラークルム
『地球はミーラークルムと言う宇宙に存在しているの。ミーラークルムには、地球のように文明を築いてる惑星は他にないということ』
「えっ!?宇宙人っていないの?」
『同じ宇宙の中にという意味ではいないわ』
深いため息をついて俯く。
私は宇宙が好きで、宇宙人を信じていたのに•••。
『けれど•••』
「けれど?やっぱりいるの!?」
『同じ惑星に住む生き物が同宇宙内の惑星に移住するケースなら稀にあるわね。その場合、幸福度は平均としてるけど』
つまり地球で例えると、火星に移住する、みたいなことだよね?
それはただの地球人であって、私の求める宇宙人じゃないの•••。
落ち込んでいる私を見て、シンがいつものように何もない空間からファイルを取り出す。
『地球は、文明レベル3か•••』
「文明レベル?」
『ええ。最大10レベルで表す文明の進化見合いなんだけど、3はかなり低いわね』
「そうなの?」
私からすれば、地球はかなり文明の進んだ惑星だと思っている。
『でも、レベル3なら同じ宇宙の他の星を調べられるレベルよね?』
「よくニュースでやってる」
『宇宙人なんて、いなかったでしょ?』
当たり前のことを言われ、少し恥ずかしくなる。
ニュースでは、どこかの星に探査機を送ったとか、水があったとか、色々やっているけど宇宙人発見!!なんて言うのはもちろんない。
「それじゃ、地球で確認されたUFOは?」
『ゆーほー?』
「やっと知ってる単語が出てきたよ。未確認飛行物体のことでしょ?」
ユキが次の缶ビールを催促しながら言う。
シンはファイルで確認すると、あぁ〜、と納得したように頷く。
『UFOは、あなた達地球人が作ったものじゃないの』
「えっ、どういうこと?」
『どうも何も、地球人が作った飛行物体を、地球人がUFOだって騒いでるだけよ。地球外で作られた物ではないってこと』
私はその場に両手を着く。
信じていたものが崩れていく•••。
『それで、大分話が逸れてしまったけれど、最初の質問の答えは、感情を持った生き物が定住している宇宙の中で最下位ってことよ』
「分かったような、分からないような•••」
私は起き上がりながら言う。
『1つ1つの宇宙は、必ず私のような神等の配下に入っているから、最低限の生活までは準備されているのよ』
「後は自分達次第でより良くできた星が順位が上になると」
『う〜ん、手堅く言うとそういう認識で合ってるかしら?』
私的には100点の回答だと思ったのだが、単純な話ではないらしい。
『それとワームホールのことなんだけれど、前に私が作ったということは話したわよね?』
「うん、覚えてる」
『ワームホールを話すには、まずブラックホールの話をしないといけないんだけれどマリーは分かる?』
「ブラックホールはその星を構成していた物質等あらゆるものを呑み込んじゃうものでしょ?」
『そうよ。そのブラックホールは質量の重い星が爆発すると発生するの』
私は黙って頷く。
『ブラックホールを発生させている、要は星を爆発させているのは悪神よ』
「悪神って•••」
『そうよ。私が神の裁きで狙った相手』
私が死ぬきっかけとなった相手だ。
『ブラックホールが発生すると、その逆にピンクホール、地球で言うとホワイトホールが発生するの』
ホワイトホールは、ブラックホールの逆で呑み込まれた物質等を放出する。
『ホワイトホールから放出される素粒子レベルの情報や炭素等の有機物を他の星に引き継ぐために私はワームホールを作ったの』
ワームホールは、ブラックホールとホワイトホールを繋げている時空トンネル。
私が病気の治療で使った「ワームの肝」もきっと滅びた星からワームホールを経由して齎されたもの。
『簡単に言うと、ブラックホールによってただ消えていくだけだった情報を救うために、ホワイトホールを作って他の星に引き継いでいるの』
「ちょっと待って、何で悪神は星を爆発させているの?」
シンは逡巡し、顎に自分の手を持ってきて考え込む。
『悪神は•••』
シンは覚悟を決めたように話し始めた。
『悪神の目的は、正直分からない。ただ、星の爆発によって起こるのは宇宙の膨張加速』
宇宙ができた後、最初にビックバンが起こり、その時から宇宙は膨張していると聞いたことがある。
『宇宙と宇宙の間には、ボイドと呼ばれる無の空間があるのだけれど、膨張し続ければやがて無は壊され、120,217個の宇宙は1つになる』
「1つになるとどうなるの?」
『全てが破壊され、無になる』
私は驚きで言葉を失った。
『無理矢理1つにされた宇宙はそれまで保っていた重力、引力、膨張等、全てのバランスを失い、星や原子等は1箇所に集められ、接触して爆発するの』
「この星も?地球も?」
『ええ。全てよ』
いつの間にか缶ビールを飲むのをやめていたユキが口を開く。
「そんなこと、なんでするのよ」
「あんまりじゃない。悪神って神なんでしょ!?」
『悪神は私達より上位の神よ。何億年前からか、悪神はおかしくなり始めた。だから、私達下位の神で悪神を討とうとしたのだけれど、失敗してしまって•••』
シンは無意識に私を見る。
私を殺してしまったことを今でも悔やんでいるのだろう。
「悪神は、何で無に拘るの?そもそも無って何?宇宙が始まる前は無の空間だったってこと?」
シンは口の前に人差し指を立てる。
『The truth that cannot be exceeded』
『超えられない真実』
私は無意識に身震いをする。
ユキを見ると、私と同じで幼女の姿で震えている。
『それは、私達神も悪神も分からないこと』
『決して触れてはいけない事由』
シンは私とユキを見て、缶ビールを飲む。
『最上位の2人は知っていると聞いたことがあるけど•••』
「それって誰なの?創造神ってやつなの?」
『私にも分からない。そういう存在がいると、聞いたことがあるだけで•••』
しばらくの間、3人とも話さず静寂が訪れた。
静寂を破ったのは、家のチャイムの音だった。
「アイラが帰ってきた」
『今日はここまでね。私が体現化していると神ポイントを消費しちゃうし』
「う、うん。そうだね」
『缶ビール、もっと作っておいてね』
シンは笑顔で言うと、神像の中に消えていった。
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