第25話 復活と、食事会

神界から再び旅立った私は、今、自分の体を見ている。

まだ、遠くに見えるけど、あれは私の体だと思う。


今の私と、私の体の間には金色の光が道を作っており、他には何もない。


どんどん私の体に近づき、あと少しというところで私の視点が変わった。


私の目には、今、木目の天井が映っている。


戻ってきたんだ



「マリー様!!」

「マリーちゃん!!」

「マリーお姉様!!

「マリーお姉ちゃん!!」


色々な声が聞こえて来る。

まだ、私の意識はフワフワしていて、定かではない。

体も重たく、思うように動かせない。


「••み、•••みん、な」

私は呼びかけるが、うまく声を出すことができない。


「大丈夫、大丈夫です。マリー様」

ラーラの声が聞こえる。

ラーラの方に顔を動かすと、泣いている顔がそこにあった。


私は顔を動かして辺りを見回すと、寝ている私を囲むようにみんなが立っていた。


「マリーお姉ちゃん」

ミアが私の手を掴んで泣いている。


「マリーお姉様」

アイラはミアの肩を抱きながら泣いている。


んっ?

何かおかしい

違和感がある


「ふ、2人とも•••、何で、セー、ラー、••

服な、の?」



それだけ投げかけた私は、再び眠りにつき、数時間後に目を覚ました。

みんなに助けてもらいながらベッドに上半身を起こし、スープを食べさせてもらう。

そして、また寝る。


数回それを繰り返したが、遂に無理にでも立ち上がらなければいけない時が来た。


そう

トイレです


私が眠っていた間のトイレはどうなっていたのか、それを聞くのは止めよう。


私はベッドから上半身を起こし、足を床に着ける。

大分、動けるようになっている。


「マリー様、無理をなさらず」

「マリーお姉様、私の肩をお使い下さい」


ふと、私は気づいた

ここがどこか分からない•••


「こ、こは、どこ?」

弱々しくも大分声が出せるようになっている。


「マリーお姉様、ここはガーネットの街の私の屋敷です」

アイラが私の腕に自分の腕を絡ませながら言ってくる。


アイラの屋敷ということは、完成したんだね。


「アイラ」

「はい」

「トイレはどこ??」

私の顔は、もう間に合わない、という表情をしていたかもしれない。


「マリーお姉様、ご案内します」

「マリー様、私が支えますので」

ラーラが肩を組みながら言ってきた。


私は立ち上がると、まだ足に力が入りきらない感覚はあるものの、歩くことはできた。


支えてもらいながらトイレに向かっていると、アイリスさん、レキシーさん、何故いるか分からないけどメレディスさん、ナーラ、サーラ、最後はミアまで私の元まで来て、話をしてきた。


「マリー様が眠っている間、交代でマリー様の世話をしていましたので」

「ミアちゃん以外、みんなこの屋敷に泊まってるんですよ」


分かってるよ

みんなに心配をかけたことは

それに心配をしてくれて嬉しい


けどね、今は何よりトイレなの


ようやくトイレに辿り着いた私は、別の意味で天国に行きました。



それから数日、私の体力はほぼ回復し、久々にみんなと食事をすることになった。


今日はガツンといくよ。

私はしっかりと覚えていた。

魔王国ヴィニシウスで大量のスパイスとニンニクを買ったことを。


病み上がりの私を心配するみんなを宥めて、料理を開始する。

なぜだか、新しい料理を作ると伝えた時から、私を引き止めるみんなの抵抗が弱くなった気がする。


食事会に参加するのは、

アイリスさん、アイラ、メレディスさん、ミア、レキシーさん、ラーラ、ナーラ、サーラと私の9人。

ミアのママ、ラーミアさんや冒険者のラドさんも私を心配して何度か来てくれたが、王国の姫様がいるという理由で、食事会は欠席となった。


アイラとミア、それにメレディスさんはセーラー服を着ている。

私に早く元気になってもらいたいという思いと、単純にお揃いにしたい、単純に可愛いから作ったらしい。

3つ目が大部分の理由なのでは?



料理スキル持ちの私は手早く料理をし、9人分が完成した。


•ガーリックステーキ

•ガーリックライス

•カレーライス


日本人ならやや違和感のある組み合わせだが気にしない。

好きなものを好きなだけ食べるんだ。


みんなの目も輝いている。


「みんな、心配かけてごめんね。

それと、色々とお世話をしてくれてありがとうー」

私は一人一人の顔を見て言った。


「それでは、いただきます」

「いただきます!!」

みんな一斉に食べ始めると、その美味しさから食べるスピードが上がる。


「美味しい!!」

「これが、あのニンニク?信じられない!!」

「カレー美味しい」


これは、お代わりが必要かな。

私は自分も食べつつお代わりを作り、それを繰り返した。


みんな美味しそうに食べてくれてよかった。



食後、満足気な表情のみんなとお茶をしているとメレディスさんが話し始めた。


「マリー様。体力が戻りましたら、是非一度、ラミリアまで起こしいただきたいのです」

「ラミリアに?」

「はい。今回のカサノヴァに対する謝礼と、冒険者ギルドの件で直々に父が話をしたいと」

「冒険者ギルドの件は、恐らく加入に関する話だと思うわ」

メレディスさんの後に、冒険者ギルドのギルドマスター、レキシーさんが付け加える。



謝礼か••

冒険者ギルドの加入も気になるし

断る理由はないかな



「分かりました。日程はみんなと相談して決めますね」

「はい、ありがとうございます」

「マリーちゃん、行くときは私とアイラも誘ってね」

アイリスさんが自分とアイラを手で示しながら言ってきた。


「それは全然いいですけど」

「マリーちゃんのお陰で、私達の貴族位が上がるのよ」

「貴族位が?」

「マリー様、私が赤紙の親書を送ったのは覚えていらっしゃいますか?」


メレディスさんの言葉を聞いて思い出した。

赤紙は特急を示し、招集にかかった時間が早ければ貴族位が上がり、その逆は犯罪者になるという迷惑なものだ。


「ラーラちゃん達がドラゴンで連れてってくれて早く着いたでしょ?そのお陰で貴族位が2ランクもアップするの」


貴族位はGからAランクまであり、もともとEランクだった貴族位がCランクに上がるそうだ。


「そうだったわ。親書で思い出したけど、カサノヴァ国からも親書が届いてるわよ」

アイリスさんが親書を渡してくる。


「私のところにも届きましたが、カサノヴァに来て欲しいと、そういった内容ですか?」

親書を読んでいる私に、メレディスさんが尋ねてくる。


「大体は一緒だと思うけど、何か私の名前が欲しいって書いてあるよ」

「まぁ〜」

「それは素晴らしい」

メレディスさんとアイリスさんが笑顔で拍手してくる。


「名前って、どういうことなのかな?

ルミナーラさんに子供ができたから名付け親にになって欲しいってこと?」

「マリーちゃん、全然違うわよ」

「マリー様のお名前が国名になるということですわ」

アイリスさん、メレディスさんは再び拍手をすると、今度はみんなも拍手を始めた。



ど、どういうことーーー



結局それ以上は、誰も教えてくれなかった•••


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