日々の細やかな食卓を暖かくいろどる《はるのごはん》の御惣菜はいかがですか?
たかが食。されど食。
食事の風景にはその御方の人となり、経験、その時の細やかな心境が現れるものです。ひとつの食から故郷を想いだすひともいれば、愛する誰かの姿を想い描くひともいて、……だからこそ食はやさしい。
食を書くことは人を書くことです。
こちらの著者様は卓越した文章力と、生活感のある細やかな描写をもって、食を通して人を書き、人を通して食を書いておられます。まさにいま、目の前で湯気があがり、食卓の風景が香りと一緒に拡がるような。
読んでいるうちにお腹が減ることまちがいなしです。
お腹は減って、こころは満ちるそんな素敵な読書時間……
ぜひとも召しあがれ。
食べることが好き。
食べ物が好き。
あたたかくなる話が好き。
そんなあなたにお勧めします!
本当に、食べ物の描写と食事の描写がお上手で、一品一品にお腹を鳴らしてしまいます。
言葉から滲む色彩も鮮やかで、頭で思い描くのも楽しい。そんな作品です。
短編から読ませていただいてますが、本当に全てが美味しそうで、『はなのごはん』を探しに町に躍り出たくなるほどです。
素敵なのは、お腹が満たされて「はい、おしまい」ではないところ。
食事によって、凝り固まった心も解きほぐされる。ほぐされるから、一歩を踏み出せる。そんなあたたかなお話なのです。
是非、短編と併せて、疲れている人にこそ読んでもらいたい作品です。
素敵な作品をありがとうございます!