壊してはいけない絆
仲仁へび(旧:離久)
第1話
その絆は壊してはいけない。
この世界には、世界の平穏を脅かす魔王がいる。
その魔王を倒すために、彼等の絆が必要不可欠だったからだ。
男性二人と女性一人でできていたパーティーがある。
人々の希望をになった勇者パーティーだ。
しかし、その勇者パーティーは、恋愛事でもつれるかもしれない。
優しく力強く、気高く意志が強い。そんな女性に男性二人が同時に惹かれていたならば、問題が起きないはずがない。
勇者の旅を支援する我々、組織の人間はかねてから懸念していた。
実際、パーティーの仲は日をおうごとにぎくしゃくしていて、早急な対処が必要に思えた。
男性達が、女性に良い品物をプレゼントしたり、二人きりでデートをしたがるなど、異常があからさますぎる。
恋愛感情を抱いていないわけがない。
だから、その絆が決定的に壊れる前に、自分達の手であえて壊して、代わりの人間で埋め合わせる事にしたのだ。
女性と同じような事ができる人間、女性と同じような性格の人間を見つけてきて、予備として控えさせた。
もちろん、恋愛面でもめごとがおきないように、その人物は男性だ。
その男性に、理由は話してはいない。
勇者パーティーに不測の事態が起きた時のために控えていてほしいい、とだけ言っておいた。
そして私達は、秘密裡に件の女性を呼び出し、罠にかけて亡き者にした。
勇者パーティーの一員なのだから、苦労すると思っていたが、恋愛事にうつつをぬかして浮ついていたのだろう。
こんなありさまだから、始末して正解だった。
恋愛でだめになる人間が、勇者パーティーの一員だったなんて、そんな悪評を立てたくない。
パーティーの他の仲間二人は悲しんだが、立ち直れるように私達はしっかりとフォローした。
そしてそのあと、代わりの人員を補充させる。
できあがった新しいパーティーは順調に絆を育んでいるようだ。
心配はない、今度は大丈夫だ。
以前と同じような問題で、絆が壊れかけたりはしない。
「ふぅ、戦闘終了。そういえば、俺の前のパーティーメンバーってどんな女性だったんだ?」
「良い奴だったよ。女性なのに、むさくるしい男の旅に文句も言わないでついてくる。事故で死んじゃったけどな。可哀そうに」
「そうそう、あれは驚いた。かなり胸にきたし、辛かったぜ。武器屋の男と結婚を考えてつきあってたっていうのにな。初めて知った時は動揺しすぎて俺達ぎくしゃくしちまったぜ。でも、その後は色々アドバイスしたり、仲が進展しそうな物とか贈ってたんだぜ」
壊してはいけない絆 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます