4.幸せの結末(それは誰が?)

 あつしと合流したのは、探し始めてすぐの事だった。

 あつしにはまたもや嘘の情報を教えて時間稼ぎをしていたが、途中で副部長の政志まさしが「任せてもいいか?」なんて言い出した。

 僕は親指を立てると政志まさしはトイレに行きたいと言い出して姿を消した。


 それから僕はあつしに思い出話を話してみた。

 そして、しばらくしてから思い出のチョイスに失敗してしまう。


「まさかあつし沙々子ささこと付き合うなんてな、小学生の頃は想像もつかなかったよ」

「なあ~~!そろそろ教えてくれよ、沙々子ささこと話したんだろう?なんていってたんだ?」


 そろそろ限界だとは思っていたが、これ以上は後味が悪くなるので、そろそろ部室に行って話を聞こうかと誘導する。


 僕は移動しながらもスマホで衣緒理いおりちゃんにメッセージを送った。


『もう限界だ、そちらに向かう、できるだけゆっくり歩くけど到着は5分くらいだ』


 そうすると、すぐに返事が返って来た。


『こっちはもう大丈夫、ありがとう』


 お礼を言われた事に少し嬉しくなりながら、部室に向かった。

 その最中、5枚目の写真を開く。

 真っ暗中に何か見えるかもしれないと思ったからだ。

 試しに明度を思いっきり上げると『手』が写っていた、さらによく見ると手の隙間からは困り顔の衣緒理いおりちゃんが写ってる。こういう顔も可愛い、なんて鼻の下を伸ばしている時にふと気が付いてしまった。

 そして僕は『OK』と返事をする。


「おい、優登まさと、何か顔が赤くないか?」

「き、ききき、気のせいだろ!?」

「な~んだよ、何か良い事あったんだろ?言ってみろよお~」

「ほら!部室付いたぞ!さっさと入れ!」

「ちぇ、しゃあねえなクマが出るか蛇が出るか、開けるぞ!」

「いや、クマじゃねえよ、それ」


 そして開けた瞬間──


 パーン!という音と共に、皆で一緒に声をかけた。


あつし!誕生日おめでとう!!!わああああ』


 唖然とするあつしが振り替えり僕を見ると、僕も一緒にクラッカーを鳴らしていた事に徐々に顔を赤くする。


優登まさとまでグルだったのかよ!教えてくれたっていいじゃないか!」

「いや、それじゃあサプライズにならないだろ?確証を持ったのだって放課後からだぞ」

「くっそー、次の誕生日は誰だ!?覚えてろよ!そんで、ありがとな!」


 そうして、皆で記念写真を撮る事になった。

 撮影者は衣緒理いおりちゃんで、普段使っているのとは違うスマホを向けて来た。

 一瞬シャッター音が聞こえたのに、衣緒理いおりちゃんが「スマホ間違えちゃった」と言って、普段使っているスマホで撮影する。

 今度は三脚を使って、衣緒理いおりちゃんも入っての撮影だった。


 その終始、僕と衣緒理いおりちゃんは顔が赤かった。

 パーティーの途中、最後のメッセージが送らてくる。


『本当にいいのですか?(Yes/Hai)(6/6)』


 写真は先ほど撮られたばかりの僕の写真だった。

 僕の返事は当然決まっている。送信すると、真横で着信音が鳴った。

 そこには耳まで赤くなった衣緒理いおりちゃんがさっきのスマホを持っていた。



5.種明かし


 僕は送られて来た写真を見ながら思い出に更けていた。

 1枚目は代継よつぎ沙々子ささこで、指を一本立てている。

 2枚目は秋好あきよし政志まさしで、指を二本立てている。

 3枚目は五月女さおとめ里央菜りおなで、指を二本立てている。

 4枚目は加賀かがあつしで、指を三本立てている。

 5枚目は手だ。


 1~4枚目は名前から指の本数目の文字を切り出して並べ、最後に『手』を付ける。

 すると、『だいすきつきあっ』となった訳だ。

 唯一の謎は5枚目をどうやって送ったのかだが、それは最初のデートの時に答え見つけようと思った。

 余談だが、この見知らぬ電話番号、衣緒理いおりちゃんの母親の物だったらしい。


 そして今更だが最後に言っておこう、これは探偵が犯人に捕まり敗北した物語である。


                                         了


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謎の写真と冷たい彼女~二つの謎を解き明かせ~ なのの @nanananonanono

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