3.尻尾は掴んだ(片方だけ)

 放課後となり、僕はあつしに話しかける。


「依頼の件だが、おおよその見当はついたぞ」

「マジでか!?それで、どうなんだ?俺は嫌われたのか!?」


 その言葉を聞いて衣緒理いおりちゃんが目を輝かせていた。


「わくわくです!」


 マジ可愛い。お持ち帰りしても良いだろうか?


「まぁ、どうだろうな?それはそろそろ答えを知っている人から迎えか連絡が来るよ」

「それはどういう事だ?」

「ほら、おいでなすった」


 バタバタと音を立てて教室に来たのは副部長の政志まさしだ。

 普段大人しい秀才肌の政志まさしが走るなんて珍しいのだが、僕の推理が正しければ、そうせざるを得ない事情がある。


あつし!お前に話があるんだ!」

「なんだなんだ?政志まさし、何か焦ってないか?お前らしくもないな」

「実はだな……部長が呼んでいるんだ、ちょっと屋上まで一緒について来てくれないか?」


 そう来たかと僕は思った。

 さらに思ったのは『その部長、そんな所には居ないんだろ?』だ。


「じゃあ、私は先に部室に行っていますね」

「それなら僕も行こうかな、いいよね?衣緒理いおりちゃん」


 衣緒理いおりちゃんが少し迷って政志まさしに目線を送る。

 政志まさしがコクリと頷くのを見て全てに納得が行った。

 衣緒理いおりちゃんと一緒に廊下を歩きながら、僕は探りを入れようとした。

 それはあつしの件ではなく、写真の件の事だ。

 これまで4人の写真が送られて来たが衣緒理いおりちゃんの写真がまだない。

 もし来ていたら保存してロックする。あと家で拡大してプリンター出力して部屋に飾るのに。


衣緒理いおりちゃん」


 その言葉を発した時点でメッセージが送られて来た。

 メッセージは『答えを聞こうか(5/6))』

 ちょっとまてよ!分母が増えてるじゃないか!

 そんなツッコミを脳内で入れながら、写真を確認すると、真っ暗だった。

 これはどういう意味だ?と頭が混乱するばかりだ。


 部室前に到着した時点で、衣緒理いおりちゃんに確認した。


衣緒理いおりちゃん、僕も入っていいのかな?」

「だい………じょうぶ、だと、たぶん。ちょっと聞いてみます!」


 そう言って衣緒理いおりちゃんは部室の中に入た。

 中から、沙々子ささこと部長の里央菜りおなの声が聞こえる。

 それから、衣緒理いおりちゃんは部室から出て来て、お願い事を口に出した。


「お願いがあるのですが……」

「いいよ、あつしかな?どれくらい時間を稼げばいい?」

「あー、やっぱりわかっちゃいましたか」

「まぁね」

「それでは今から1時間、お願いします」

「了解、じゃあ後でね」

「はい」


 この勢いで衣緒理いおりちゃんに告白したら受けてもらえるだろうか、なんて考えながら僕はあつしがいるであろう場所を目指して走り出した。

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