第4話 初めてのお友達。

とある日。

ご主人様がご機嫌よく、朝から部屋の掃除をしていた。

「紺。今日は、未桜さんときなこちゃんが遊びに来るよー。」

ご主人様のお友達が来るのか!あの人は、ご主人様と雰囲気?空気?とにかく、優しい人だから好き。

ピンポーン。

なれないチャイム音にびっくりしてカーテンに隠れると、ご主人様に優しく抱き上げられた。

向かう先は玄関。扉を開けると、ご主人様のお友達と違う猫の匂いがした。

匂いがする場所を見ると、かごの中に猫がいた。

じっと見つめてると、その猫もじっと見つめ返してきた。

「紺君、こんにちは!」

「未桜さん、きなこちゃんもいらっしゃい。」

ご主人様がお友達を招き入れてリビングに移動する。

リビングに着くと、かごの中から猫が出てきた。さっきご主人様が言ってたきなこちゃんとはこの猫のことなのかな?

きなこちゃんはじっと僕のほうを見てくる。明らかに警戒されてる瞳だ。

仲良くしたいけど、怖くてご主人様の影に隠れた。

「紺もきなこちゃんも緊張しなくて大丈夫だよ。」

「そうそう。きなこもいつも通り過ごしな。」

先にきなこちゃんが動き出して、ご主人様の机の椅子に座り込んだ。

それでもなお、目線は僕から逸れない。

僕も恐る恐る椅子の近くの床に座って、きなこちゃんを観察することにした。



きなこちゃんの観察を始めてから数時間が経った。

ご主人様が僕のお昼を用意してくれた。きなこちゃんのは、お友達が用意したのだった。

僕のごはんには好物である煮干しが入っている。

きなこちゃんが黙って僕のごはんに入ってる煮干しを見ているのを感じた。

「…ニャー?(食べる?)」

僕はお皿から煮干しだけを取り出して、きなこちゃんの近くに置いた。

「ニャ?(いいの?)」

「ニャー(もちろん)」

僕の返答を聞くと、きなこちゃんが恐る恐る食べた。

「ニャー!(ありがとう!君、唯さんと一緒で優しいのね。)」

きなこちゃんはご主人様のことを知っているようだった。

ごはんを食べ終えた後、お互いのことを話した。

きなこちゃんは、数年前にお友達に拾われたらしい。それから定期的にご主人様の家に遊びに来るようになったらしい。

僕も数か月前にご主人様に拾われたことを言うと、君も大変だったね、拾ってくれたのが唯さんで良かったねと言ってくれた。

きなこちゃんもお友達と同じくらいご主人様のことも好きらしい。

僕も、ご主人様もお友達も大好き。

お互いの話が終わった後、僕はきなこちゃんにお気に入りのクッションを紹介して気付いたら僕もきなこちゃんもそこで眠っていた。



きなこちゃんたちが帰る時間になったらしく、お友達が変える支度をしていた。

きなこちゃんともっといたくて、僕はきなこちゃんとキャットタワーの一番上に登った。

ご主人様もお友達も困ってるが僕もきなこちゃんももっと一緒に過ごしたかった。

でも、いつまでもお互いのご主人様を困らせたくない気持ちは一緒らしく、諦めてその日は見送った。

それから月に二度、きなこちゃんと会える日ができた。



年上で優しいお姉さん。僕の初めてのお友達、きなこちゃん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

野良猫とご主人様 吟鈴 @gin0328

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ