鍵を握る者
「で、話って何かな」
咲穂は深く息を吸うと、真っ直ぐ瑞綺を仰ぐ。
「瑞綺さんは、今回のオークションにご出席されますか?」
そう尋ねると、彼は片眉を上げ訝しそうに少女を見た。
「一応出るつもりではあるけれど…
それがどうかしたの?」
瑞綺の怪訝そうな声に、咲穂の鼓動が高まる。
「く、詳しいことは話せないんですけど、
私たちの代わりに落としてほしい品があって…」
あの日。朱音と任務の
瑞綺を見やる。シアン色の瞳が揺れる。一面に広がった青空には、どんな感情も浮んでいなかった。
「お、お金払って欲しかったら、
後払いになっちゃうんですけどちゃんと払いますし、
返して欲しかったら品もちゃんと返すので!」
咲穂は念を押し、深々と頭を下げる。心臓の音がやけに五月蝿かった。もし瑞綺の許可を得ることが出来なければ。彼が「YES」と言わなければ。全ての計画は無に帰る。そうなればもう、次はない。
「…それは、【何でも屋】のお仕事なのかな?」
「は、はい…」
咲穂が期待を込め瑞綺の声を待っていると、彼は困ったように眉根を寄せて、微かに息を零した。咲穂がおずおずと頷くと、呆れたような笑みを浮かべる。
「君に声を掛けられた瞬間から、
なんとなくそうだろうなとは思ってたんだけど」
肩を竦める瑞綺。金色の髪がふんわりと首筋に掛かる。
「…何も知らない子が一人でいるのは危険すぎる。手伝うよ」
「ほ、ほんとですか…!」
一瞬時が止まったような気がした。咲穂は瑞綺の返事を聞いて、安心したかのように息を吐く。瑞綺も
咲穂は瑞綺に今回の依頼内容を告げると、ニアについての詳細を語る。彼はそれを聞き取ると、「わかった」と囁き自信たっぷりの笑みを浮かべてみせた。
綺麗な服に身を包み、豪華な装飾品を
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