恋のリクエスト 2022

美乃坂本家

恋のリクエスト 2022

帰るぞ、はるか」と、3年A組にいた亮太が、声をかけた。

はるか「あたし、少し遅れるから、校門の前で、待っててよ」

「じゃあ、先に行くぞ」亮太は、そう言って教室を後にした。

亮太とはるかは、幼馴染で付き合って関係は長い。

亮太は、性格がマイペース、はるかは、几帳面で、曲がったことが大嫌い。

性格は、全く正反対。でも、幼い頃から、仲良しだ。

それに、亮太は、正義感が強い。だから、はるかに何かあったら、それから守ってくれる存在。

はるかにとっては、頼もしい兄貴なのだ。

空模様は、曇り。

亮太は、そういえば、今日この学校に転校生がきたと言ってたなあと、ぼんやり考えていた。

季節は、秋の少し前。遠くで、野球部の声が、聞こえる。

風は、穏やかで、気持ちいい。こんな時は、はるかとゲームセンターに行って、ぬいぐるみを

とってあげようかと亮太は、今心地よい。

その時、テニスボールが、亮太の前に転がってきた。←桃太郎か?

「すみません」と亮太の前に1人の少女が現れた。

亮太は、その子にボールを手渡した。

「ありがとうございます、先輩」と現れたのは、今日の転校生「更科まい」だった。

「優しいんですネ」とまいが言った。

「感謝されるようなことじゃない」と亮太

まいは、「そんなことないです。私テニスが下手で、ボールをよく落とすんですけど、誰も拾ってくれませんでした。」

「そういえば、オマエ名前は」

「更科まいです。倉木麻衣のまいです。覚えてくれると嬉しいですね」

「オマエ、おもしろいなあ」と亮太

「そうだ、テニス、見学していきませんか、いえ、ぜひきてください」

まいは、性格が積極的な女の子だ。人見知りしない。

「ごめん、人を待っているんだ。」と亮太

「じゃあ、ここでお話ししませんか?」

「えっ」亮太は、驚いた。俺に興味があるのか?こんな可愛い子が。

「ここじゃ、まずいなあ」と亮太

「どうしてですか?」と、まい

まさか、こんな可愛い子と一緒のところ、はるかに見られたら、明日から俺と口を聞いてくれない。心の中で亮太は、つぶやいた。

「先輩、付き合っている人がいるんですネ」まいは、頭の回転が早い。

亮太は、黙っていた。この子は、あまりに他人の心に、入りすぎると思ったからだ。

「先輩を、シェアさせてください。お願いします。」と、まい

「シェア」

そのとき、はるかが、声をかけてきた。

 

「お待たせ、帰ろう」

亮太の心は、胸中穏やかで、なかった。


「亮太、この子誰」とはるか


「はじめまして、今日転校してきた倉科マイです、よろしくお願いします、先輩」


亮太は、やべぇ、沼にハマったと、沈黙することにした。


「亮太に聞いてんの」はるかの眉毛が、つり上がった。


「すみません、私がテニスボールを、拾ってもらったので声掛けました。ゴメンなさい」とマイ。


あまりにも素直な態度だから、ますます腹がたってきた、はるか


「なに、あなた、亮太を私とあなたでシェアする気なの」



実は、隠れて2人の話は、聞いていたはるかだった。


「お前、聞いてたのか?」とおどろく亮太。


神様、可愛いなんて、ほんの出来心です、反省しますから、許してくださいと心の中でつぶやいた。


「話が早いです、先輩」ニッコリ笑うマイ


「今は、カノジョもシェアする時代です。おかしくないですよね?」


「そんなの聞いてない、付き合っているのは、私だけよ。絶対認めない。」ヒートアップはるか。


「しょうがないですね。こうしませんか?テニスで勝った方の言うことを聞くというのは」とマイ


はるかは、しばし考えた。この子テニスが下手だから、私にも勝てるチャンスあるかもと。


「決まりですね、先輩。」


「ルールは、簡単、先に点をとった方が、勝ちとします。よろしいでしょうか」とマイ


「勝って溜飲を下げるとするわ」とはるか。こんな、難しい漢字を使うあたり、富野由悠季みたいな

はるか



「行きますよぉ、先輩」とマイ


試合は、こうして、始まった。亮太の他に周りには、誰もいない。


「パン」と、まいから、ボールを放った。


「えっ早い」驚いたはるか。それでも、打ち返した。


下手くそに見えないとはるかは、思った。


そう、実はテニスの特待生として、マイはこの学校にまぬかれていた。


一方はるかも、テニスなら、腕に覚えがあった。


勝負は、ラリー戦に、もつれ込んだ。


「取って見なさい」はるかは、回転を聞かせたボールを放った。


「はい!」なんなく打ち返すマイ。


一方、亮太は、コソコソ逃げ帰る準備をしていた。


「嘘つきね」非難するはるか


「そうでもしないと、付き合ってもらえませんから」とマイは言った。


マイのたまは、早くて重い。持久戦となると、体力に劣るはるかが不利だ。



「あっ」と言って、はるかが倒れた。


「大丈夫ですか、先輩」とマイ


マイは、はるかに駆け寄った。


「大変、血が出てる、救急箱持ってきます。」



手当を受けていて、はるかは、だんだんうつむき、鼻をすすりだした。


マイは病院に行きましょうかと、優しく声をかけた。


「違うの、あなたが、可愛くて優しい子だから、くやしくて」はるかの本心だった。


そして、泣きながらこう言った。


「わたしから、亮太を取らないで。お願い」と懇願した。


「大丈夫です、先輩、亮太さんは先輩からとりません」とマイ


「えっそれじゃ?」ポカンとしたはるか


「シェアするだけです」あくまでも、シェアは譲れないマイだった。


すでに、亮太は、その場から立ち去っていた。






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