第13話 漱石と第十夜 後編


『これから夏目先生のところへご挨拶に行ってこい!

手土産も忘れるなよ』


・・・今なんと?


『前任者は同行できないがくれぐれも失礼のないようにな

まぁお前なら大丈夫だろうが、なんせ令和の大先生だからな!』


ワハハとあっけらかんと笑う編集長に苛立ちすら感じる


朝からなんて雑な対応を、しかも引き継ぎなし?


こんなことあるのか?

これでもここは日本人なら誰でも知っていると言っていいほどの有名出版社で相手は今をときめく売れっ子作家・・・


どう言うこと?


今まで彼女の担当をしてきたのは有名作家を担当してきたベテラン担当だったが昨日までで担当は3人変わっている


いくら最近調子がいいと言え30手前の僕が担当になることなんてあり得ないことだ


これはチャンス?

出世欲があるわけではないが仕事をするからにはそれなりの実績はあげたいとは思っていたが・・・


『じゃあよろしくな!』


ごちゃごちゃ考えていたら話はまとまっていたようだ




とりあえず向かうか



午前でも銀座は人が多い少し細い道に入ると一気に人はまばらになり歩きやすくなる


会社から先生のご自宅へ向かうには銀座は面倒だが手土産がまずは一番大事

新人の時は何度も失敗して培ってきた感と経験がある


ここは予約しないと購入できない和菓子屋で夏目先生ならここだろうとあの後すぐにダメもとでお店に電話したら運よく予約が取れた


基本的に僕はついているんだよな


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偽者文豪の奇譚録 @nano_tsukiyono

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