潔癖生活

潔癖 解

第1話# 始まり

「あーあ。なんて退屈なんだろう」


『人生とは』と、誰しもが一度は考えたことがある議題に対して、俺はこう答える。

「人生とは、いかに楽に生きるか」である。

しかし、最適な選択をしなければ楽に生きることは難しい。

俺は間違った選択だらけで、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学と全ての受験をして第一志望に受かることなく、今に至る。

その行動の結果が今のニート生活に至る。一応、親にまだ余裕があるのでニートができる。しかし、これも時間の問題だ。


「あーあ、早く仕事・・・いや生活保護受けないとな・・・」


さっさと家を出て生活保護を受ける生活をしなければ。

そう思っていた。それが親の負担をなくすことにつながると。

俺は神社に併設されている公園で、物思いにふけていた。


思えば4歳のことだった。俺の両手にはいつも女の子がいて、特にある女の子とはよく遊んでいた。こちらが男の子用のおもちゃで遊ぶと、一緒に遊んでくれた。あちらが女の子用のおもちゃで遊ぶと、一緒に遊んだ。今思うと両思いだったのだろうか。昔の心情を思い出すのも、相手の顔を思い出すのも、困難、というよりは憚られる。きっと彼女との間に何かあったのだろう。それすら思い出せない、いや嫌なことは直ぐ忘れるという性分のことだけはある。

あーあ、養われてぇ。ダメ男を演じれば、いやそのままダメ男ではあるのだが、俺は良い主夫になる自信はある。自信だけで根拠がないのはいつも通りだ。


そういえば、俺の人生も根拠のない自信ばかりだった。

第二希望の小学校へ入り、エスカレーター式であがっていった。その学校は入学金さえ払えば、他校を受験しても良いというシステムだったので他校を受験しまくった。その結果がこれと言われれば、両親に申し訳ない。だが、かつての俺は大した勉強もせずに「いける、いける」と謎根拠で受験して見事に砕け散った。

俺の人生も砕け散るだけだな。


友達も仲の良い仲間もいない俺にできることは・・・


「あ、そうか」


暇つぶしで流れてきたルーティン動画やミニマリズムの動画を見て思った。


「俺もYouTube始めるか・・・」


ジャンルは・・・うん、日常系だな。


テーマは・・・そう、かつて俺の性格・・・?いや、悪い所だった・・・


「潔癖症だな」


そして、伝えたい・・・やりたいこと。


「潔癖症でも簡単に生きることができる世界を創る」


ああ、なんて難しくて崇高な目標なんだろう。

それを体現するにふさわしい言葉は・・・


「潔癖生活」


ああ、素晴らしい。俺は久々にやる気を出す感覚に襲われた。

これならできる、これならやれると心の俺が言っている。

そう、根拠のない自信。でも後には引けない。これができなきゃ生活保護受けてやる!

こうして俺の潔癖生活は幕を開けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

潔癖生活 潔癖 解 @keppeki_kai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る