第14話
「ねえ、魔法使ってイカサマしてない?」
トランプをしていると手札を除かれているような気がし、正面にいるヴィクトリカに尋ねる。
「あーあ、バレちゃったか。でも、まあ、100年以上もかかったからようやくと言ったところかな」
そう、私たちは出会ってから100年以上の時間が経った。当然その間に色々なことがあった。
わかりやすいのは定期的にダンジョンに行くようになってから食生活がガラッと変わったことだろうか。ダンジョンには醤油だけでなく酒や胡椒、砂糖などなんでもあった。マヨネーズがあった時は正直驚いた。
食生活以外にも娯楽も増えた。これは元からそれなりにあったが、ダンジョンで得たものからヴィクトリカが新しく魔法具を作ったりもしたので飽きることなく楽しめいている。
100年経っても変わらないものもある。それは私たちの容姿だ。100年経っても私たちは老いることなく出会った時の姿のままだ。保有しているマナが多い私たちはこの世界がなくなるその時までほとんど成長しないだろうとヴィクトリカに言われている。
「もしかして、今までも魔法を使ってイカサマしてた?」
「ああ、もちろん。気づかれなければイカサマはイカサマにならないからな」
「あー、だからか。通りで運が絡むゲームですら一勝もできないわけだよ。王様ゲームが最初だよね?」
私の言葉にヴィクトリカは顔を逸らした。
「えっ、違うの? あれが最初だと記憶しているんだけど」
「いや、まあ、ゲームではそれが最初だよ。うん」
「ゲームでは? いつ、いつ使ったの?」
ヴィクトリカが声を詰まらせる。
それだけでいつどのように使ったのかがわかった。
「最初の夜、私に洗脳系の魔法を使ったんだね」
ヴィクトリカは俯いたまま肯定した。
「別に怒ってないよ。あの時に言われていたら、もしかしたらヴィクトリカのことが嫌いになっていたかもしれないけど、今はそんなこと思わないよ。だってそんなことすら気にならないほどヴィクトリカのことが好きになっているから」
「…… マヤ」
勢いよくヴィクトリカが抱きついてきた。
身体強化をした一撃の不意打ちで倒れる。椅子から落ちたのでそれなりに痛かったが、頭を打たないようにてでカバーしてくれたことはさすがだと思った。
目を開けるとヴィクトリカに口づけされる。
激しく舌を絡められ、口内を蹂躙される。
この100年で私はかなりヴィクトリカに調教されていたのでこれだけで体が火照って、彼女を求めたくなる。
「ここでするのは嫌だよ」
私が言えたのはここまでだった。意識が追いつかない速さでベッドに連れられ、攻められていた。
毎回毎回同じような結果になっているが、私たちらしくていいだろう。
これからもこの関係は変わることはないだろうと快楽で朦朧とする意識の中で思った。
異世界の無人島に転移したら追放された美人エルフと二人きりで生活することになった 冷水湖 @2236944
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