最終話 ソラの降る
暇だなぁ。いや、正確にはやる事は山ほどあるし、のんびりしている場合では無いのだが。
鳥がさえずるような早朝は、爽やかさが邪魔して、やるべき事に手が着かないのだ。
普段見ていると動いているのか、止まっているのか分からないような雲も、眠気まなこで見つめていると、速さを競っているかのように足速に流れているように感じる。
「どこから空なんだろう」
やらないといけない事があるときに限ってどーでもいい事に興味が向いてしまう。接地していなければ空、というのはあまりに不自然な気がする。雲も地上に降りれば霧になるように、地上付近の空は空気という方がずっとそれらしい。
いつ間にか、人の声が聞こえるようになり、妹も起きてアニメを観ている。サン、サン……と太陽をイメージした曲が耳に届いて、はっ!と気がついた。太陽から日光が降り注ぐように、雲から雨が降り注ぐように、空からソラという物質が降り注いでいるのではないかと。
僕たちは、そのソラという物質をからだ全体で受けることで、空を感じることができるのだ。
は〜スッキリした。と手を伸ばし、腰掛けの背もたれに体重をのせる。数分間その爽快感に浸った後、ふと、我に返り、やらなくてはいけない事と向き合う。
今日もソラは降っている。
ソラの降る だ〜くくり〜ぱ〜 @DarkCreeper
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