第5話 ユキの降る

ザクッ…ザクッ…ザクッ…

 全くもって、酷い寒さだ。これで地球温暖化だって言うのも不思議なもんだ。どうせならもっと暖かく、いや、夏が暑くなるのは嫌だな。

 

 公園のブランコに座り、自販機で買った缶のプルタブを引っ張りあける。プシュっと音ともに吹き出してくる泡をこぼさないように口に含む。


カァーっとした熱み、苦みが喉元を通り過ぎる。公園には、自分と雪で遊んでいる家族がいるだけだ。家族四人で雪合戦をしているなか、一人の男の子はそれには加わらず、一人その近くで雪だるまを作っている。そういう年頃なのだろうな。自分が幼い時は、よくベランダで星を見ている幼なじみに雪玉を投げたり、夜中だと言うのに庭で遊ぼうとか言ったものだなぁ。あの頃に戻りたい。


なんて、ダメだダメだ。早く家に帰ってやらないといけない仕事が残ってるんだ。急いで残りの酒を飲み干し、少しフラフラした歩調で帰路についた。

 

 家の扉をそっと開ける。両親はもう寝てしまったようだ。コートを脱ぎ、自分の部屋のベッドにダイブする。


やはり、ベッドとぬいぐるみのもふもふだけが自分を癒してくれるのだ。ふと、机の上に見覚えの無い箱が置かれているのに気がついた。しゅるしゅるとリボンをほどくと、綺麗なスノードームと一枚の紙が入っていた。差出人は、幼い頃にお姉ちゃんのように慕っていた向かいの幼なじみだった。


紙には、辛い時には支え合おうの文字。仕事が大変なこと、見透かされていたんだなぁ。今日は、幼なじみは山に天体観測に行っていて、向かいの家は真っ暗だ。

 

 スノードームを空にかざしてみると、月の光に照らされて、雪がキラキラと輝いた。

 

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