家の蔵の中に有った刀を抜いた瞬間、気が付けば平安の時代に飛ばされていた少年。
その時に彼の手に握られていた刀は先祖代々家に伝えられているという妖刀・鬼丸。
主人公である篁一志と鬼丸が飛ばされた時代は、なんと平安時代。そして舞台は鬼が住まう島。鬼ヶ島だという。
人と鬼が共存していた、かつての島の状況は一変していた。一体何が起こったのか?
一志はその島で、二重人格の少女と出会う。美羽と美紅。彼女達は鬼姫という二重人格の存在。
その島で脅威となっている鬼・雪牙丸と対峙する。何故に、鬼同士が争わなければならないのでしょうか?
何故、妖刀・鬼丸は人を選んで時空を転移するのでしょう。その刀の意図は何処から来るのでしょうか?
生き残る為と復讐を叶える為と云う怨念じみた生き様。しかし、相反する想い。同族同士が争う歪んだ感情。色々な感情が入り混じった結果、刀に宿った何かが反応したのかもしれません?
ピンチから逃れ、現代に戻った一志であったが、どうやら島の少女を現代に連れ帰ってしまいます。
幼いあどけない美羽とイケイケ武闘派の美紅という、真逆の二重人格のキャラが作品に華を添えて読者を作品に引き込んでいきます。
現代に戻ってからは、過去編とは違った感じで、コミカルに物語は進んで行くが、やはり謎は多い。ミステリーな流れを汲みながら、新たな違った局面を見せるのかも知れません。
>この刀は、どの時代にも存在して、どの時代にも存在しない刀なのです。
母親の意味深な言葉に秘められた内容とは一体?
鬼をモチーフに盛り込んだ長編現代ファンタジーミステリー。
時を超える刀の力。それは一体何……?
鬼ヶ島伝説を再解釈した、時間移動の物語です。
とある刀がありまして、こいつは時間を飛び越えることができます。
主人公の一族は、この刀を操ることができまして、いきなり源平合戦ぐらいの時代まで飛んでしまいます。
そこではいくつもの戦乱と悲劇がありまして、メインヒロインとなる鬼姫はたくさんの苦労と悲しみを背負いました。
その解決に、主人公が一役買うわけですが、実をいうと物語の軸は、時間移動そのものにあります。
どうやら現在行方不明である主人公の姉も、この刀を使っていたようです。
つまりこの物語は、一振りの刀を軸にして、主人公一族たちが時空を超えたミステリを解決することにあるわけですね。
設定からして、かなり壮大な物語なんですが、それゆえに主人公の立ち位置と情報量の制御が難しくなっています。もし序盤の回想シーンで脱落しそうになった読者さんがいたら、お薦めの読み方があります。
「42話 現代でも僕らは元気です」から読みましょう。
この物語は、過去編が終わって、現代に戻ってから急激におもしろくなります。というのも、メインヒロインである鬼姫が正式な仲間になって軽妙な会話が始まるからです。
42話から本番だといっても過言ではないです。
基本的には1話から読んだほうがいいんですが、レビューは読者を増やすためにあるわけですから、救済措置について触れておきました。