これは小説じゃないかもしれないけどどうか僕の思いを読んで欲しい

@nanasuka

第1話


人が1人あの世へ行った。

大好きな先輩だった。小学校の時から同じスポーツを真剣に取り組んで、ちょっと卑屈で友達の少ない僕にとってとても大事な仲間で先輩でお兄ちゃんのような人だった。


ある日の放課後高山たけるは学校から帰りいつものように眠る。高校の部活を理由があってやめた僕は学校が終わるとすぐに眠りにつく、ネットで買った安物のギターは飾りとなりかけていたその日は雨だった、雨の日はみんな憂鬱そうにしている授業もいつもより寝ている人が多い気がする、なので家に帰り部屋に着くと自然と眠くなり目を閉じる。いつもなら長くても30分くらいで目が覚めるのにその日は何故か2時間近くも寝ているようだった。気づけばもうご飯の時間あまりお腹も空かないままご飯を食べようと2回の自部屋から1回のリビングに行く。その時ちょうど頑なに変えようとしなかったが今年の春からやっとスマートフォンに変えてくれた母がそれを持ってそそくさと廊下に出ていく、狭い廊下なのにまるで俺の存在にも気づかずにいるようだった。そこにはいつもは帰りが遅い父もいて、すぐにいつもと違うことは感じたでも違和感の正体は分からず父が泣いてることにも気付かないふりをして、ご飯は?なんて軽く聞いて見せた。

スマートフォンを握り父の顔を見ずに言った

父が自分の方に近づいてくるのを感じたがそれも気付かないふりをした。

何も分からないまま母に出かけるぞと言われ窮屈な制服から楽なジャージに着替えた。いつもは強い父とよく泣く母まるで立場が違って見えた。出かけると言われたのでジャージを着て靴下を手に取った。その瞬間父が俺をめいっぱいの力で抱きしめ膝から崩れ落ちたそして絞り出した小さな声で言った。

「えづきが死んだ。」

俺は何故か何も聞こえなかったふりをした

そんなわけが無いと思ったけど、その場の状況が全てを表していたから何も信じたくなかった。あとからもう一度兄貴に聞かされた。でもやっぱり何も信じれなかった。1週間前まで中学の時のチームメンバーで集まり同じスポーツをして笑いあっていたのにと。そのまま色んな思考が巡る頭で車に乗り雨のなか小さい時よく遊びに行ったえづきの家に向かっているんだと理解した。理解した瞬間涙がこぼれ落ちた。家に入りその顔を見る。気づけばもう顔中はベタベタで何も考えることが出来なくなっていた。彼の顔を見た。とても綺麗な顔だった。寝ているだけで今すぐに起きてあの無邪気な笑顔で笑ってくれんじゃないかと思わせる顔つきだった。2年ぶりにあったえづきの母親は憔悴しきった顔で何度もすみませんと頭を下げた。母親どうしが会話をしてる時、彼女は

「 1番辛かったのはえづき自身だから昨日まで普通だったのに気づけなかった私は最低だ 」

と言った。その内容で彼が自殺であること知った。確かにそうなんだろう。でも彼女はきっとこれまでの全てを自分のせいと思い後悔し続けるだろう。えづきの母親は女手一つで男2人を育てあげていた。えづきのお兄ちゃんもえづきもとてもいい人だったし決して間違いなんてひとつもなかったというのに。俺は少しえづきに対していらだちを覚えた。後のことはえづきのお兄ちゃんに任せようと父親が家族に呼びかけその場を後にした。家に帰ってからも泣いた。今までの10年近くの思い出を振り返りないた。自部屋に戻りずっと泣いた。このまま自分が壊れてしまってもいいとすら思った。けどそんな俺を冷静にしたのは、今まで少しの涙を見せただけの兄貴の姿だった。ずっと冷静でいる兄貴はすごいと思ったけど同士に少し薄情だと感じていた。でも違った。彼は人前では我慢して家に帰ってからまるでおもちゃを買って貰えなかった子供が人の気を引くためのような大声で泣いた。けどきっとそれは俺になんて考えられないくらいもっとずっと辛い気持ちがあったんだろう。それを隠していたのだと思うと俺は不思議と冷静になれた。

兄貴の声が収まると同時くらいに俺はご飯を食べにまた1回におりた。

大丈夫?と母親が声をかけてきた。

さっきのような緊迫はないいつも通りの母だ。俺はあんまり喋りたくなくて一言

「ご飯が食べたい」

とだけ言った。そこには俺が好きな生ハムのサラダがあった。こんなことになると思わずただ俺が喜ぶと思って作ってくれたそのサラダはずっと冷蔵庫で保管され乾いて味がしなくなっていた。父親とは話した。彼がなぜ自殺したのかいつから気持ちがあったのか、父親と俺では食い違いがあってやっぱり「死人に口なし」という言葉があるくらい人にとって感じ方は千差万別で答えなんか出なくて彼に今すぐ問いただしたい気分だった。

昨日ちょうどテレビで有名な芸能人が無くなってて、その人は今年60歳になるって言う歳で父はなんでそれで死にたくなるのか分からないと言った。でも少し俺はわかる気がして、こうなんじゃないかと理由をいくつか上げた。でもそれはやっぱり遠い世界の知らない人が死んでるだけで悲しさのベクトルが全く違った。彼が死んで想像して何を考えでもどれも違う気がして、逆に全部がそうなんじゃないかって気がして。想像することすら辛くなっていく一方だった。

彼がどう言う方法で死んだか、なぜ死んだかそれがまだ分からず、警察の見解を待つだけだった。

18歳にしてその選択を選ぶしか無かった彼はどんな気持ちだったのだろう。1週間前の彼は何を感じていてなぜ俺たちの前であの顔を見せれたのだろうか。なぜ弱さを見せてくれなかったんだろうか。彼は弱かったのだろうか。俺はえづきに少しいらだってはいたがやっぱり自分からそれを選ぶ辛さは尋常じゃないと思うから今はただ死ぬまでの瞬間を幸せでいってほしいと思う。そして次この世に生まれて来るとするならばその時こそ幸せ出会って欲しいと願う。

死は決して悪いことじゃない。これまでも続いてきた輪廻の輪がまた紡がれていくだけだから、自分たちにとっての一生の悲しみも時代にとっては一瞬の出来事でしかないのだから。

次の日というかその日というか、自分の中で整理は着いたはずだったのにその日は全く寝れず、気づけば朝5時母親の家事する音が聞こえ何となくリビングに向かった、でも足はフラフラ頭はガンガン、昨日の涙で身体中の水分が全て飛んでった上に睡眠が取れなかったことその全てが体の調子を表していた。

学校をサボった。

人が1人死んでどんなに苦しい人がいようとも時間は進むし会社や学校には普通に行かないといけない。人が1人死のうと昨日の自分と同じ日を過ごさないと行けない。なんて惨いのだろう。

その日1日何もしないままただずっと考え続けた。今なら何も怖くない気がした。人にすきだと伝えること、好きなものを好きだということ、今まで怖くて出来なかったその全てがくだらなく思えた。人が死ぬこれほど怖いことはないと思うから。俺は勝手に彼の分まで長く強く楽しく生きると決めた。僕は友達が少ないでもだからその分大切にしようと思ってた。100人の友情より10人の愛情をって、でも近くで人が死んだ。彼の死に一切気づけなかった。言葉にして伝えてくれれば何か変わったかもしれないのに。だから俺は言葉にしたい言葉が欲しい不器用でも不格好でも嫌な言葉でも全部伝えて欲しい。嫌いでもいいから。

ただ何も無いのは本当に悲しい。

いつかまたこういう日が来るのかもしれない。

今度はもっと身近でもっと大切な人が。

でも俺はその時何か出来るだろうか気づけるだろうか。今のままじゃダメだ。だから俺は気づける人間になりたい。気づいて伝えて大事だって愛してるって好きだってもっとちゃんと。

そうやって死にたいじゃなくて死ねないって思わせられる人間になりたい。

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