第5話 旧校舎の幽霊

「うわ...すごい不気味なんだけど。」

「おぉー、何かそれっぽい建物だな」

「......」

旧校舎についた三人は、それぞれ思うところがあった。と、その時、電話がかかってきた。

 「あ、私だ。ちょっと出るね。」

零華れいかはスマホを取り出し、画面を見た。そこには、『谷本先生』と表示されていた。

「はい。もしもし?」

《あ、鈴原さん?もしかして今、旧校舎についたところ?》

「あ、はい。そうですけど...どうしてですか?」

《佐藤君と大平さんもいるかしら?》

「はい。三人ともいます。」

《ちょっとスピーカーにしてもらっても良い?》

「?」

 とりあえず言われた通りにスピーカーにする。首を傾げる悠斗ゆうと夢来ゆらの二人も近くに呼んだ。

「スピーカーにしましたけど...」

《あ、ありがとうね。...それで、今三人は旧校舎の中にいるの?それともまだ中に入っていない?》

「え?まだ入ってないですけど?」

「そうですよ。今旧校舎の前にいて、写真を撮ってたんです。」

「ちょっ...何してるのよ...」

「だってー、幽霊部らしい活動なんてこれが初めてじゃん。写真ぐらい撮っておきたいだろ?」

(呆れて声も出ないわ...)

《ま、まぁ...とりあえず二人はいるみたいね。大平さんはいるかしら?》

「あぁ、夢来ならいますよ?」

《...なのね?...ら、良かったわ。...もね、絶対に...には...ったら...めよ。》

「え?な、なんて言ったんですか?...あっ!ちょっと悠斗!先に行かないでよ!先生、ちょっと連れ戻して来るのでまた後で!」

《...!ちょっと!...に...った...だ...って......》

 所々聞こえなかったが、今は悠斗を連れ戻すのが先だ。零華は悠斗を追い、旧校舎の中へと入っていった。

「あっ!ちょ...と待っ...ば!入っ...ら...くっ...まず...も...!」

夢来も二人の後を追い、旧校舎に入っていった。...傍目から見たら、何故かその体は霞んでいたが。

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 「うーん、何ここ...暗くて全然見えないんだけど...ライト点けないと...うわっ!」

「うぉっ!ビックリした!...何だ、零華かよ。」

 旧校舎に入った零華は、探索をしている様子の悠斗とぶつかってしまった。

「もぅ...危ないなぁ...ちゃんと周りを見てよ!」

「はぁ!?それはこっちの台詞だし!零華こそ、前を見て歩けよ!」

「なによ!元はと言えば悠斗が勝手に中に入るからじゃない!」

「何だと!」

「何ですって!」

 そして、入るなり喧嘩をしていた。すると、

「あの...二人とも、ここって元々立入禁止の場所だし、あんまり騒がない方が良いと思うんだけど...」

「「あっ...」」

 多分、夢来が止めに来なかったら喧嘩し続けていただろう。零華と悠斗は苦笑しつつ仲直りして、三人で進もうとした。

「あ、そうだ。ここ暗いから、ライト点けようとしてたんだっ一一」

悠斗と夢来は、気づかずに進んで行く。と、その時、ドンっと、鈍い音がした。

「ん?零華、スマホ落としたのか?画面壊れるぞ...って、零、華?」

一一悠斗と夢来が振り向いた先には、床に落ちたスマホだけがあった。

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 『新しい獲物はこやつか。...くくっ。もうすぐだ。もうすぐで...我の望みが叶う。この忌々しい場所ともおさらばだ。...後は...我の片割れさえ取り込めば...』




 

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零なんて信じない 水無瀬洙凜 @0102_Rinne

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