第4話 みんなバカ
あのね、パパ。
私の、学校限定の由佳理パパ。
水族館に行きたいって思ったんだけど小学生だけじゃ入場できないでしょ……だから川がいいかなって。ペンギンやクラゲを見たいんじゃないの、水に触れたいの……でも洗面所やトイレの水じゃ駄目。
ちょうど先生たちが毎年メダカの卵を取りに行ってるあの川がさ……パパの家からも近いよね。
え……学校のメダカはあの川のじゃないんだ、知らなかった、へぇ、買ってるんだ。教材と一緒で……お母さんのときは川から取ってきてたんだって……あ、パパのお父さんのときもそうだったの。
学校が世界なの、私たちにとっては……たぶん中学から高校のはじめまではきっとそうだよ。メダカの学校だよ……
ねぇ、だから私は川に行きたいの……パパ、連れて行ってよ。
私のこと……由佳理ちゃんがパパになる条件として教える義務があるよね。お父さんは優しくしてくれるよ、お母さんも……でもお父さんはちょっと違うの「優しさ」が。
皆と同じようにゲーム機を買ってくれるんだよ休日は旅行に連れて行ってくれるんだよ……でも、そこに温度がないの。
それに「お父さん」なのか「パパ」なのかもわからないの、自分のことは「僕」って呼ぶから。お父さんて呼んでほしいから。私のお父さんのことを話すときは「お父さん」て呼ばせて……今も子供だけど、保育園とか幼稚園とかもっと幼い頃の記憶は曖昧だから、だからその頃は「お父さんはね」みたいに言ってたかもって思ったけれどお母さんがずっと「僕」のままだって言っていたから、駄目だったの。
私が生まれる前のお父さんは「僕」でもいいんだよ。なんか、いいんだよそれで……
あなた以外みんなバカなんだよ…私も……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます