第2話 初の新人賞応募
ちなみに大学ノート3部作はパート2までしか完成しなかった。パート3執筆開始時に人生初のメンタルブレイクを起こす。
交通事故に巻き込まれた。というか、自分が友達を巻き込んでしまった。怪我をしたのは自分だけなら何も怖いものはなかった。友達に怪我をさせた。それから自分の中で何かが壊れた。
3部作が完成しなかったのは書けなくなったからではない。書こうとしていたハリー・ポッター、バック・トゥ・ザ・フューチャー、ホーム・アローンを混ぜ混ぜした作品。これって、全部明るい作品なのではないか? ハリー・ポッターでさえ苦難はあるが最後には必ず幸せになる。
何かが物足りない。メンタルブレイクして思った。世の中は綺麗じゃない。天使しかいないと思っていた地上に悪魔が舞い降りた。
それと、死の恐怖も。
書きたいものが変わった。友達に怪我をさせた自分の姿をなんとか書き残したい。罪の償い? そんな意識があったわけではないけれど、申し訳無さで張り裂けそうだった。
友達と疎遠になる。事故の影響もあったと思う。小説はもう読んでくれないだろう。それでもいいから、その人のところまで届ければいい。そう、本屋に並べて届くまで頑張ればいい。そう思った。
唐突にプロを目指す。小説が好きだからじゃない。絵が描けないから。はっきり言って笑われそうな理由だ。読書は嫌い、読めてもハリー・ポッターだけ。そんな自分がダレン・シャンに出会う。
バッドエンドにして次巻に持ち越すという引きに毎度鳥肌が立つ。児童書と思えない残虐描写の数々。革命だった。
交通事故で友達に怪我を負わせた自分には、伝えたい想いがある。謝罪の言葉。別れ。疎遠……。
大学ノート3部作を放置してでも書かねばならぬと思った。
その頃はウェブで投稿するというものがなかった。今度は日記帳に書いた。ここで毎日書くということを覚える。日記に書き終えると大学ノートに続きを書く。紙と鉛筆だけの執筆。出せるものにはなっていない。
国語の先生に思い切って相談してみる。パソコンでやった方がいいこと、応募する方法があることをはじめて知る。
公募に出すと決めた。書き方の本を読む。三点リーダーの使い方や、句読点の打ち方を勉強する。応募先の決め方やそもそもどうやって毎日書くのか? といったことも調べた。
それでも、紙と鉛筆でだったので2年かかった。その後、パソコンで2年かけて清書。つまり人に読んでもらえる形式にするのに4年かかった。高校は卒業してしまう。年月の流れの速さに戸惑った。時間の大切さを知らなかった。応募に締め切りがあると知り、慌て始める。
紙と鉛筆で書いた弊害も出てきた。原稿用紙にではなく大学ノートと日記帳を使ったため、文字数が分からない。パソコンで打ってみてはじめて分かる。20万字あった。そもそも応募できるラノベの賞がなかった。悩んだ……。
・文字数がオーバーしている。(本2冊分ある)
・締め切りなんてややこしいもののことはよく分からない。
2つの理由から当時、文字数制限なし締め切りなしのメフィスト賞に出すことを決める。
ここから公募との戦いがはじまる。
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