書き方備忘録

影津

第1話 くだらない幼少期。いわばプロローグ的自己紹介。

 頭にあった物語が溢れ出てきた。インプットしたくない物が世の中にはたくさん溢れ出てそれが五感を通して流れ込んできた。


 両親の罵声とか。学校は楽しかったけど、トラブルがあって呼び出しを食らって怒られたりとか。だけど小学生の自分は言葉を持たない。


 何故怒られるのか分からない……。そんなことがときどき起こった。原因と結果の因果関係が分からない。理由は分からないけれど、先生も親も怒っている。自分が何故非難されるのか分からない。自分には理解できないことがたくさんある。そして、それに反論する言葉を持たない……。ただ、目の前で怒鳴る彼らのことを見つめ返すしかなかったのが悔しかった。悲しかった。


 何かを吐き出したいと思った。

 絵でもなんでもいい。周囲の情報が身体に流れ込んでくるのが辛い。なんとかして外に出さなければ……死ぬと思った。


 小学生のとき人は自分一人で死ぬことができると知った。いわゆる自殺というやつ。衝撃だった。人を殺してはいけないというのに、人は自分で自分を殺せるのだ。


 死ぬのは怖い。痛いのは怖い。自分でできるとは全く思わなかった。だけど、消えてしまいたいとは思った。


 だから、早く何かの方法で頭にたまるものを排出したかった。


 もちろん、嫌なこと以外にもたくさん吐き出したいことがあった。色んな妄想だ。妄想、空想、絵空事? とにかく溢れ出てくる。

 

 中学になった。

 友達が漫画家志望だった。漫画を描こうという話になった。

 頭の中にあるたくさんの出来事、吐き出すなら楽しい感情、妄想! 形にしたいと思ってノリノリで答える。描くと。


 描けなかった。絵なんか知らん。


 漫画は諦めた。そしていきなり書き始めた。これがノート1冊を埋め尽くす長編一本目。完全に好きなものの詰め合わせで、ハリー・ポッターとバック・トゥ・ザ・フューチャーとホーム・アローンを混ぜたようなものができた。地の文は箇条書き、セリフは受け答えとノリのアホな作品。

 

 友達は漫画を2ページほど描いて見せてくれた。自分の作品はそれから一年で完成。その頃には友達もすっかり一緒に漫画を描こうと言ったことも忘れたかもしれない。とりあえず漫画を描くと言ったのに小説を書いた自分は約束を守れなかった。最初のカテゴリーエラーである。

 

 当然、友達にも読んでもらえなかった。まぁ、楽しかったからいいや。


 翌年、書いた作品の続編、パート2を書く。映画が好きで映画は3まであるものだと思い込んでいた。最初ひらめいたのはこの2作目の方で三部作にするから一番最初に書いた1にたある作品の方がネタ的には後のものだ。


 パート2は一番最初に構想して書きたかったものだからあっという間に書いた。といっても前回と同じ一年かかった。毎日書くということを知らなかった。それでも週に一回書いてたかな。学校で書くという発想がそもそもなかった。やはり恥ずかしかった。妄想だと分かっていたから。


 この頃、初の二次創作を始める。二次創作って言葉をこの頃は知らなかった。

 ストーリーはワンピースとターミネーターを混ぜたものである。ゴム人間がT1000と対決する――筆力はなかった。書けなかった。ギャグになった。でも書けないという感覚は味わえなかった。ずっと書けると思っていたし、現に書ききった。


 書けない展開を無意識に避けている自覚はない。書けるものを書くスタイルをこの頃から貫いている。これが、現在足を引っ張っている。書けないものは書かない、挑戦しない。これはたぶん。よくない。誰かに聞きたいものだ。


 ギャグを書いた時代もあったんだ。だが、その後で性癖を根底から変えてしまう作品と出会う。


 ダレン・シャンである。なお、ハリー・ポッターは絵本しか読めない読書嫌いの自分に、はじめて本を手に取らせた魔力を秘めた本であると明言できる!


 だが、そのすぐ後のダレン・シャンが自分の中でバイブル化してしまう。


 そう、バッドエンドしか書かないバッドエンドブームの到来である。なお、新人賞はこの後に書くバッドエンド作品をぶち込むことになる。

 

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