第10話 GWはどうする?
球技大会も無事? に終わりいよいよGWを迎える。
今年はどうするか? という話をするためいつもの三人は一つの机に固まっていた。
「去年は結局、ダラダラと過ごしたけど、今年はどうしようか?」
杏は去年のリベンジをしよう! と鼻を鳴らす。
すごく気合が入っているように見える。
「近場で何かしたいよな」
柊一も乗り気なようで楽しそうに返事をする。
ただ、案はなかなか浮かばないようだ。
「近場でねぇ……」
正直、思い浮かばない。
こんな田舎にあるのはせいぜい、カラオケかボーリング場くらいだ。
「何を話されているんですか?」
そう言いながら、話に入ってきたのは春咲さんであった。
今日も変わらずに可愛らしい。
「なんだなんだ? 悪巧みかー」
それにつられて観月さんも話に混じる。
彼女は……うん、相変わらずだな。
「今、失礼なこと考えただろ?」
「な、なんのことかな?」
なぜわかった?
相変わらずの鋭さに少し焦る。
僕は決して失礼なことを考えていたわけではない。
ただ、胸が控えめで、スレンダーで、シュッとしているなって思っただけ……
「こ・ろ・す・ぞ?」
満面の笑みを浮かべ、彼女は僕の耳元に近づいて囁く。
な、なんでバレてんの?
それより、どさくさに紛れて僕の肩を外そうとするのやめてくれない?
「せっかくのGWだからさ、どこかいきたいよねって話してたんだ」
杏は彼女たちの問いに正直に答える。
まぁ、そもそも嘘つく必要もないんだけどね。
「そうだな……グランピングとかどうだ?」
確かに、電車で30分ほど行ったところに施設はあるので立地もいい。
簡単に非日常を味わえるし、なんならこれ以上ない提案のように思えた。
でも、僕には気になる点があった。
「いい提案だと思うけど、いくらかかるの?」
そう、お金の問題は僕の生死に直結するのだ。
いくら楽しそうでも、これを蔑ろにすることはできない。
「そうだな……確か六人部屋で二万円だったから、今のメンバーなら一人四千円だな」
それくらいなら僕の食費を抑えれば参加できそうだな。
よし、それで決まりだ!
「そこにオプションを増やすたびに金額は増えるがな。あくまで宿代で四千円だ」
それは頭になかった……
こうなってくると厳しいかもしれないな……
なんとか違う方へ回避するか!
「い、いや、でも、女性陣は一緒の建物に泊まるなんて嫌なんじゃないかな?」
そうだ、年頃の男女が同じ建屋で一夜を過ごすなんて嫌がるんじゃないか?
決して僕の金銭面がアレだから断ってるんじゃないよ?
「修学旅行みたいですごく楽しそうじゃないですか!」
春咲さんは目を輝かせている。
いや、そこは僕に同意するところじゃ……
「なんか、ワクワクするなー。お泊まり会かー」
観月さんまでノリノリのようだった。
空気を読んで断ってよ二人とも!
「じゃあ決まりだな」
柊一はニヤニヤしながらこちらを見ている。
予約は俺がしておくからと言って、電話をかけ始める。
この際、仕方がない。
実際は楽しみなのだから、皆の意見を押し切ってまで反対をする必要はないのだ。
ただ、柊一、お前だけは許さないからな?
そう心に決めて当日を心待ちにするのであった。
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