第7話【急募】国を作るための人手と計画図面

 申し訳ありませんでした。厨二病の場面が出てしまいました。いや、厨二病じゃないけどね?ちゃんともう一人のボクいるから!


「って、誰に向かって釈明してるんだろうな俺。もう一人の自分?釈明する必要ないね?」


 まあ、今のところ俺にはなんの障害もない。たまに思考ジャックして暴れようぜ!ってヤンキーみたいな誘いをしてくるけど……そもそも暴れる暴れない以前に今日明日を生きなきゃいけないの!働けもう一人の俺!分身しろ!そうじゃん分身すれば良いじゃん。


「と言うわけで取りあえずよろしくな!100人の俺!」

『確かに俺はお前だからやりたいことは理解してるけど……と言うわけで、でまとめるなアホ!』

「100人の俺にアホって言われた!!」


 俺の分身なんだから俺にアホって言うなよブーメランだぞ!とにかく、人手が足りないから魔法で分身して色々始めることにする。


 近くの森林から木材の伐採、加工!他にも家具の製作!民家の再建!畑の耕作こうさく!分身は魔法は使えないので肉体労働をさせ、俺は土魔法で石畳いしだたみの整理と雑草を引っこ抜く作業だ。


 あ、城壁どうしよう?ムスト王国の城下町をぐるっと高い壁で囲まれていた痕跡こんせきがあったんだけど……うん、分身したし土魔法使ってるし、魔力足らないよね!決してめんどくさいとかじゃないよ!魔力が足りないだけなんだからね!


「「うへー、めんどくせー」」

「ほら手を動かすんだ俺!俺も頑張ってるんだから気張れ俺!」

「「俺、一応幹部なんだけどなぁ……」」

「やめろ!俺も若干『これ、幹部がやる仕事じゃないよね?』って思ってるけど!」

「「だよねー」」


 くそ!俺に精神攻撃されてる!しかし、俺の精神の代償に元ムスト王国はみるみるうちに修復されていく。と言っても、ちょっと区画整理だったりインフラ整備だったりとイジってはいるけど。


「ちょっ!俺!そこに道引くならもっと早く言ってくれよ!俺が建てた民家貫いてんじゃんその道!」

「民家一回壊す?」

「俺の努力が!」

「はーっはっは!重要度の高さから言えば、今俺が引いてる道が民家よりも重要なのだよ俺!」

「くっそー、次はめっちゃ快適かつセンスのあるたくみのような民家建てて『あれ?俺の最初に建て直した民家より良くね?』って思わせてやるからな!」

「それ、俺が住み直せば良いだけじゃね?」

「そうだったああああ!」


 あれ?俺の分身、ちょっとアホじゃね?つまりオリジナルの俺もアホ……い、いや!俺はちょっと職人気質で何かを作ろうとすると周りが見えなくなるとかいうあれだ!うん、決してアホじゃないからな!?


 とまあ、そんなこんなで元ムスト王国……というかほぼ『新ムスト王国』は急速に建国されていくのであった。


 次の日。目が覚めて民家から出てくると、目の前には綺麗な街並み……と死屍累々の俺✕100が。街は綺麗だけどこの光景は軽くホラーだろ。


「おつかれ俺たちー」

『おーう』


 元気のない返事と共に消えていく俺の分身。いやマジでお疲れ、小国とはいえ1日でインフラ整備から建築までこなしてくれた。しかも不眠不休。俺だったらストライキ起こしてるね!あれ?魔王のところでも不眠不休だったような……?


「もしかして、俺社畜根性染みついてね?」


 やめよう、まーた朝の清々しい気持ちが無くなっちゃったよ。軽く保存食を食べて街を歩く。そろそろ持ってきた食料尽きてきたな……


 元々城を中心として東西南北に伸びていた大きな街道は、俺が今いる民家のすぐ近くの井戸を中心として四方に伸びるように改造されており、それによって元々あった城壁は北側が削れて城のすぐ後ろにまで下げられ、代わりに南側の城下町に広く拡張された。


 言ってしまえば、この新ムスト王国は最北端に城があり、南と北の行き来の際に城をぐるっと回り込まないといけなかった問題を城壁ごと南にずらすことで解決した。


 魔力が足りなくてめんどいからやーめぴ!って思ってたら100人の俺が一晩でやってくれましたよええ。と言うか俺、優秀すぎない?


「確かに、防衛としては中心に城を構えることでどの方面から攻め込まれても別方向に逃げることが出来るから良いんだけど……俺一人しかいないのにそんなくっそ利便性が悪いことするかっての」


 もうね、めんどいのなんの。中心に城があるせいでぐるーっと回らないと今まで北側や南側に行けなくてイライラしてたもん俺。


 北側で作業して寝ようと民家に戻ろうとしたら城経由しないといけないんだよ!?城一階吹き抜けにしてやろうかと何回思った事か!城を直してるのにもう一回ぶち抜くのは二度手間だから止めたけどね!


 っと、紹介を続けよう。と言っても後はそんなに紹介するものが無いんだけど。俺の住んでる民家がある東側はそのまま住宅街地区として再建。同じようなデザインだぁ……三人寄れば文殊の知恵とは言うが、俺が3人いてもそりゃセンスの個性は1つだもんな。


 住み心地は……一応住めるようにはなってる。羊とか鳥とかが無いからベッドとかも作れないし、藁も腐ってたから俺がベッドとして使ってる分以外は処分したし。


 風呂や下水は完備している!そういった衛生管理、大事だよね。今水入れても使う人いないから止めてるけど。


 南側は商業地区。南北に東西よりもデカい道を通しているので、人が居たらここが賑わうだろう……という妄想で作った。


 いいだろ!ボッチなんだからミニチュア遊びぐらいしても!どうせ魔族が居るんだから住人なんて来るわけ無いだろうしさぁ!?


 民家よりも大きな建物を建築、2階建てや3階建てもあるぞ!掃除、どうしようね?


 ま、まあ作ってしまったのは仕方ないね!西側の紹介しよう、うん!


 まあ、西側は完全に農作業や牧畜に特化した地区にしてある。だってご飯無いんだもん!!

 はあ、僧侶ちゃん早く帰ってこないかなぁ……

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その中ボス、取り扱い危険につき! 夏歌 沙流 @saru0

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