隠れマフィアの僕

汐田 連

プロローグ

霞がかかってぼんやりとしか見れない夢の中では、あの最愛の人が死にかけていた.


これを見るのは今回が初めてではない。今まで何回も何回この夢を見てきた。そのたびに僕はもがき続け、そのたびに彼女を失っている。


同じことを繰り返す自分に飽き飽きするが、それでもあの場面を見てると手を伸ばしてしまう。


白い空間では自分と同じ真っ白いワンピースを身にまとった女の子が崩れ落ちた瓦礫の下敷きになっていた。


人は死ぬ場面に直面すると時間がスローモーションになるというが、そのとおりらしくボクの目の前の光景も遅く流れてる。


そしていつもと変わらず彼女は瓦礫に飲まれ、血しぶきをあげた。


あぁ、まただ。


また救えなかった。


自責の念に飲み込まれる。


なんで私は女なんだろう。


この細い腕では彼女を助けることも、事もできない。


そんな思いに包まれ、私、いやは目を覚ました。

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隠れマフィアの僕 汐田 連 @SiotaRen

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