第10話 苦手な科目

「今日はこのぐらいにしておこうか?」

「そうして貰えると助かります……」


 近々テストを控えたある日の放課後の教室にて、私は天音あまねに英語の勉強を教えてもらっていた。


「にしてもつーくん。何で英語が苦手なのさ?」

「いやー何でだろうね。自分でもびっくりしてる」

「私と一緒の英会話塾に通ってたじゃない?あの経験はどうしたのさ」

「リスニングは多少はね。あとは、ローマ字なら出来るよ」

「ローマ字と英語は別物だよ!?」

「だよねぇ……」


 それは分かるんだけど……英文とか見るとワケわからん、記号の羅列にしか見えんのだよねぇ。何でだろ?


「まさかと思うけど、あの噂本当とかじゃないわよね?」

「あの噂とは?」

「英語のテストで0点取ったて言う話!」

「いや、0点は取ってないよ」

「あぁ、良かった。さすがにねぇ」

「赤点は取ったけど」

「ちょっと!?」


 確か期末テストで30点以下赤点扱いで、24点を取って赤点だった。ちなみに点を取れた箇所は、選択問題の箇所だけでした。その後課題を提出して、クリアにはなったけど。


「ほんと、なんでよ。赤点取る生徒会役員なんて……」

「だから天音に、テスト間近には教えてもらってるんじゃない。それに言っておくけど、真面目にやってるからな?分かんなくても、考えるのを放棄せず、最後まで諦めず、本気で解答してるんだから」

「真面目に、本気って……なお、たちが悪いじゃない。そこまでしても理解できないの?」

「不思議だよなぁ。英語が並ぶと文じゃなくて、羅列にしか見えないんだよ。どうにか読もうとするけど、全然ダメ」

「重症だわ、コレ。……今さらだけど、私がこうやって、教えてるけど……ちゃんと理解出来てる?」


 ……教えて貰っていて何だが、殆ど理解出来てません。はい。まぁ穴埋めとか選択問題を、より確実に点数取る程度には何とかなってる。おかげでだいたい40~45点ぐらいを取れるようになっている。


「少しは、理解出来てると思う。そのおかげで、二年生になってからは、赤点は取ってない。……ギリギリだけど」


 私の言葉に天音は目をぱちくりさせ固まった。やがて額に右手を当て天を仰ぐ。そして何かを決心して口を開いた。


「せめて生徒会役員の任期中は、赤点取らないように、頑張ろうか?今後も協力するからさ」

「……ほんと、ごめん。迷惑お掛けしますが、どうかよろしくお願いします」

「うん。会長、頑張る。役員から赤点を出さない様にするためにも、頑張るよ」


 そんなわけで、この日の勉強はコレで終わった。……苦手だけどマジで手を抜かずやってるからね。

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