第9話 アルミ缶、回収してます

「結構集まったなぁ、アルミ缶」


 地域ボランティアの一環で我が校ではアルミ缶回収を行っているのだが……


「集まったは良いが、潰しが、甘いの、多い、な」


 潰してから持ってきて貰っているが、中には潰しが甘いものがあり、潰し直さないといけない。加えて個数の集計もしなければならない。……正直大変だ。きちんと潰されていれば、集計だけでよいのだが、大概しっかりと潰し直す必要がある。


「何でベルマークじゃないんだ」


 小学校の頃はベルマークを回収していた気がするが、中学からアルミ缶って……手間かかるだろ。まぁ学校の方針だし、口ではなく手を動かさなければ、終わるものも終わらない。


「還元率がいいとか何とか、だってさ」

「ボランティアなのに?と言うか古詠こよみさん、何で居るの?」


 私がここでアルミ缶の潰し直しと集計をしているのは、庶務としての作業故にだけど……。


「私が居るのが不思議?」

「そりゃあまぁ」

「そっかそっか。それじゃ何で居るのか、当ててみてよ」

「いや、普通に教えてよ」

「独り言言ってるよりは、よくないかな?」

「……まぁ確かに」


 周りから最近、独り言が多くないかと言われる事がある。私的にはそうでもないはずなのだが……。言われると言うことはつまり、そう言うことなのだろう。


「外れたら一つ、私のお願い、聞いて貰うからね」

「まぁいいけど……」

「手を動かすの忘れないようにね」

「分かっとるよ」


 さて、何でここに居るのか、か……。


「それと回答は一回までね」

「ん、了解」


 数少ない友人かつ委員会での上司……放課後にわざわざこうして待っている。委員会の仕事絡みの線が濃厚か?そうだとすれば解答は、図書委員の仕事で呼びにきた。けど、事前にそんな話しも予定も無かったのにありえるか?他に何か……


「ん?」

「どうしたの?」

「あ、いや、全部潰し終えたなって」

「そうみたいね」

「数えるのに集中したいし……」

「ならつむぎが正解すれば、数えるの手伝うよ?それで解答は?」

「ん……そうだな」


 正直分からんし……さっき思い付いたやつでいくしかないか。


「図書委員の仕事で呼びにきた」

「残念♪正解は、キミの仕事が終わるのを待ってる、でした」

「それだけのために?」

「ふっふ、さぁどうでしょう?」


 なんだか知らないが、楽しそうだ。何でだろう?


「じゃあお願い、聞いて貰おうか」

「お手柔らかにお願い」

「ん~じゃあ、一緒に帰ろ」

「そんな事でいいのか?」

「もちろんキミが、荷物を持ってくれるよね?」

「まぁ、そのぐらいまでなら」


 私は自転車通学だから、荷物が増えるくらい問題ない。それに委員会で遅くなった時は、一緒に帰ってたから普段と変わらないような気が……?


「じゃ成立ね。さぁ集計をちゃちゃっとやっちゃおう!」

「お、おう……」


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