第11話 夏休み前の約束

「あちぃ……」

「エアコンの調子がわるいからねぇ」

「こんな暑い日に掃除かぁ~」

「夏休み直前、休み前の大掃除。どちらにしろ冷房はつけないよ」


 古詠こよみさんの言う通り、今日は夏休みに入る直前の最後の委員会。と言っても委員会自体での掃除は終了し、委員長と副委員長を除いた人たちは既に帰っていた。

 つまるとこと、私と古詠さんだけが残っている状態。残って何をしているのかと言うと……。


「こんな日までやるか?新刊整理」

「仕方ないでしょ。みんなが帰ってから、先生が新刊を届けて下さったのだから」

「いやいや、今日じゃなくてもいいだろ?もうすぐ休みで、図書室閉めるんだから」

「後回しにすると、忘れるよ?」


 確かに箱の中に入れっぱなしで、休み明けにやろうのすれば、忘れそうだな……

 となれば、古詠さんを手伝うべきか。委員長を支えるのが私の役割だし。


「何か手伝える事ある?」

「ん?そうだなぁ……じゃあ話に付き合って」

「別に構わないけど……作業は?」

「もうすぐ終わるわ」

「……そう。で、話って?」

「夏休みの予定ってもう決めた?」


 夏休みの予定かぁ……。取り敢えず、毎日コツコツと課題を進めるとして、他は……本を読むぐらいか?となると……。


「コツコツ宿題やって、のんびり過ごす」

「そう言う予定じゃなくて」


 こう言うのじゃない、と。はて……あぁ、そっちか。


「生徒会の仕事は夏休み中もあるから、ちょくちょく学校へ行くな。夏休みなのに学校かぁ~」

「そう大変ね。けど、夏休み中も部活動がある部が大半で、大体の生徒は来てるわよ?」

「……幽霊部員だから知らなかった」

「だろうと思った。……よし、これで終わり!」

「お疲れ様。じゃあ帰ろ」

「……ねぇキミ、夏祭りって行く?」

「ん?」


 夏祭り?どうやら私に夏祭りと言う単語を出して欲しかったみたいだな。けど夏祭りかぁ。


「今のところ、行く予定はないな」

「今のところ?」

「声が掛かれば行く。ようは、一人なら行く気はない」

「そう……」


 なんだか残念そうな感じだな。……んー、そうだな。


「なら、一緒にまわるかい?」

「えっ」

「そんなに驚く事かな?」

「……さっきの話を聞いた限りだと、夏祭りには興味ないと思ったのよ。だから」

「ま、確かにさほど興味はない。けど古詠さんと一緒なら、まぁ暇はしなかなって」

「そう。……なら、約束ね。夏祭り、一緒にまわるの」

「ん、りょーかい。じゃあ戸締まりして帰ろうか?」

「帰りに諸々を話そうか」


 そんな訳で古詠さんと夏祭りをまわる約束をしたのだった。

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