第14話 体育祭、予行演習です
「本番まであと一週間。今日の予行演習頑張ろうね!」
テンション高く
「……そりゃ頑張るしかないわ」
生徒会役員と委員会委員長+αで選ばれた合計十四人が、一人持ちの旗に二人、四人持ち三枚で十二人。入場行進時に先頭で歩く。……そう、私は役員だから旗持ちに加わる事になった。目立つ、むっちゃ緊張する。まぁやる以上はしっかりとやりきるけど。
◆◇◆◇◆
「ようやく一段落したか~」
入場行進に開会式、そして準備運動まで無事に終わり、各団のテントに戻ってきたところであった。
そしてもうすぐ一年生の競技が始まるところ。次のその次が、自分が出場する二年男子の競技なので、前もって入場門へ向かう。
「つーくん、緊張してたねぇ」
「天音か」
入場門へ向かう途中、天音に会う。時間は少しあるから、少し話すか……。
「そりゃ緊張するよ。かなりの大役じゃんか」
「お客さん無しの予行演習でそんなに緊張してたら、本番ヤバイよ?」
「だよなぁ……まぁでも、やるからには全力でやりきるさ」
「知ってる。何だかんだで、ちゃんとやるもんね、つーくんは」
な、何か恥ずかしい。話題を変えよう。
「……そう言えば体育祭関係で、気になってる事があるんだけど」
「体育祭関係で気になってる事?」
「うん。何でうちのチームだけ、ってか1チームだけ動物じゃないの?」
気になってる事、それは各団のチーム名。各学年四クラスあるので、縦割り4チームがうちの学校でのチーム分けなのだが、赤、青、黄、紫の四色のハチマキ。そして団の名前が朱雀、青龍、黄虎、紫炎であった。……何で1チームだけ炎なの。元ネタはきっと四神でしょ?
「あぁ、紫炎団の事ね。紫カラーの動物がいないからじゃない?」
「四神モチーフのチームでしょ?亀でいいじゃん。玄武で」
「……大人の都合でしょ。今さら言っても、どうしようもないよ」
……それを言われたらもう終わりだわ。ぶっちゃけ、気になりはするけど、どうこうしたい訳でもない。
「ま、それもそうなんよね。じゃあ並ばんといけんけぇ、行くわ」
「ん、頑張って来て。私は、敵だけどね」
天音と別れて待機列へ向かう。ちなみに私がこれから出る競技は……何て言えばいいんだろ?やることをそのまま説明すると、四人一組で一本の竹を運ぶ。運ぶ時は、一人が竹にぶら下がり残り三人が肩に担いで運ぶ。コーンをぐるっと回って次の組に引き渡すリレー式。アンカーが帰ってくると、全員で竹を立ててアンカーが立てた竹を登り旗を立てるとゴール。……訳しようがないわ、この競技。
◆◇◆◇◆
「取り敢えず今日はもう安静にして、見学しておくように」
「はい、ありがとうございました」
競技が終わった私は、保健室で応急処置を受けていた。……はい、怪我しました。 何がどうして怪我をしたかと言うと運ぶ時、前一人ぶら下がる人後ろ二人で今まで練習していたのに、何故か前二人ぶら下がる人後ろ一人で走ったのだ。私は後ろ。そしてコーンの所で旋回する時に、急な動きに付いていけず左足を変な方向に曲げてしまった。おかげで歩くのがかなり辛い。なんとかこの競技は終えたが、残りは見学となった。一応帰ってから病院で診て貰うようにとも言われている。
「なぁーんか、嫌な予感するなぁ」
そんなわけで、午前中に行動不能になった私は、この日一日中テントから応援してみんなを眺めるだけになった。
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