第2話 春休み明けに

 何の因果か生徒会の役員になった私、紬は今日も雑用に……生徒会の掃除に勤しんでいた。


「はぁ……」


 私を言い表すなら、平凡で真面目。成績は良くもなく悪くもなくの中央点ぐらい。あ、でも英語と体育は苦手だ。うん。特に英語の点数は赤点ギリギリ。

 とまぁ、我ながら特に目立つような事もなく……なのに何で生徒会役員になったのだろう?もっとふさわしい人が居そうなものを……


「いや、いまさらかそれは」


 私の事を推薦した先生の話だと「真面目だけどあとひと押し足りない勿体ない生徒だったから」だそうだ。その時に私は他に向いてる人が居るんじゃ?とその先生に言うと「そうかもしれないけど、ワシがお前ならと思ったんだ。取り敢えず考えてみてくれ」と言われた。

 考えて悩んだ末に引き受けた。


「だから今、こうしてる訳だもんな」


 じゃあ何が憂鬱ゆううつでため息をつきながら雑用をしているのか。それは己で定めた罰、の様なもの。

 実は私、生徒会の定例会の二度目をすっぽかしてしまったのだ。うん……初回で誰が何の役職かを決めて、その次。実質の初めての活動だったもの。

 言い訳すると、その日は学校が春休み期間。私は部活動へは入部していない……いや正確に言うと幽霊部員だった。そんな事もあって休みに学校が開いていると言う概念が無かった。そんな訳ですっぽかした。後日顧問の先生に言われ活動が合ったことに気付く、と。

 その事があってから私は、雑用などを一手に引き受けるようになった。


「まぁ、雑用とか整理は嫌いじゃ無いけど……」


 もとから縁の下の力持ちの様な役回りは得意、と言うか好きではあった。生徒会入りの条件に極力目立つような事はしない、と言って入ったぐらいだ。


「また、ため息に独り言かな?」

「……古詠こよみさん?何の用?」


 生徒会室の入り口にいつの間にか古詠ちゆが立っていた。


「キミを呼びに来たんだよ」

「呼びに?」

「朝会った時に言ったでしょ?委員会の方を手伝って、って」


 そう言えばそんな話をした気がする。

 ちなみに内の中学では生徒会役員が委員会の副委員長となり、委員長になった人のサポートにつく。

 私は図書委員会の副委員長なので、委員長の古詠の部下の立ち位置だと認識している。


「どうしたの?急にじっと見て」

「あ、いや何でもない。ちょっと待ってね。もう終わるから」


 集めたゴミをちり取りでとってゴミ箱へっと。うん片付いたかな。


「お待たせしました、お嬢様。では行きましょう」

「変なこと言ってないで行くわよ」

「はぁい。あ、鍵を返すから職員室寄っていくよ?」

「そう。なら付いて行くわ」


 生徒会室の鍵を掛け職員室に向けて歩き出す。その横を古詠が歩く。

 無言で歩くのもなぁ……あ、そう言えば。


「手伝いって何するの?」

「はぁ……やっぱり覚えてないのね。新刊整理よ。新書が届いたから並べるの」

「なるほど……量は?」

「二人でやれば直ぐに終わるわよ」

「ふむ……っと、ちょっと待ってて。……ふぅ。失礼します!」


 一声掛けて職員室へ入り、鍵を返却する。返し終えて古詠の所へ戻ると、たわいもない話を図書室へ向かう。

 そうするうちに図書室へ到着する。

 さてと……


「じゃあ、ちゃちゃっと終わらせようか?」

「えぇ。終わらせて帰りましょう」


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