最終話 王宮夜会
「オリビア嬢、緊張しているかな?」
「あ、当たり前じゃないですか〜。リアム様は緊張しないのですか?」
夜会当日の王宮。前日で学院の前期授業を終えたオリビアは、リアムと来賓控え室にいた。一週間前、彼にプレゼントされた水色のドレスに身を包み、自分の出番を待つ。国中の貴族たちが見守る中の婚約発表は、田舎貴族のオリビアには大舞台すぎる。先ほどから手のひらがしっとりと汗ばんでしまっていた。
「緊張はしているさ。けれど、君に格好つけたい気持ちの方が大きいんだ」
「もう、リアム様ったら」
リアムが涼しげな笑顔で答える。他人の顔に興味がなかったオリビアだが、彼の顔を見ると胸が高鳴ってしまうのが最近の悩みだ。今年婚約を発表するカップルは他にもおり、同じ室内で待機していたが、いつのまにか気にならなくなって彼と愛を囁き合う。
「皆様、こちらにお越しください!」
使用人に呼ばれたオリビアたちは、指示の通りに並び広間に出ていく。爵位が高い順番に紹介となるため、リアムとオリビアが一番先頭だ。
「それでは私から、今年婚約をした紳士淑女の紹介をしよう。まずはリアム・アレキサンドライト筆頭侯爵家令息とオリビア・クリスタル伯爵家令嬢!」
「「はい」」
国王陛下に名を呼ばれ挨拶の礼をする。眼前には学院の友人をはじめとした貴族たちが、大きな拍手でオリビアたちを祝っていた。その中には、レオンやサイラスやジョージ、さらにはオリビアの兄エリオットの姿もあった。
全てのカップルの紹介が終わり、ダンスの音楽が流れ始めた。リアムがオリビアに手を差し出す。
「オリビア嬢、踊ろうか」
「はい! リアム様!」
リアムの手を取り見つめ合い、大理石の床で滑らかに踊る。美しい銀髪の動きに合わせてクリスタルの髪飾りを揺らし、豪華なシャンデリアの光を味方につける。
周囲の祝福と羨望の眼差しを受け止めながら、愛しい婚約者と互いの想いを確かめ合うように笑顔を交わし、オリビアは胸いっぱいの幸せを噛みしめていた。
>>終わり
【あとがき】
最後まで読んでいただきありがとうございました!
一年以上不定期で更新し、お待たせした時期もあり、ご迷惑をおかけしました。
生まれて初めて長編小説を書き、本来であれば削らないといけない部分や中だるむ箇所がありましたが、本作はそういう部分も書きたいと思い削らずに更新しています。
ちなみに本作は三部作の予定です。
しばらくは他の作品を書くのでこちらはたまに番外編を更新しようかなと思います。
フォローは外さずお待ちいただけると嬉しいです☺️
そして感想いただけたらさらに大喜びです!
また今後も作品を発表し続けていきますのでどうかよろしくお願いします✨
松浦どれみ
【本編完結】美女と魔獣〜筋肉大好き令嬢がマッチョ騎士と婚約? ついでに国も救ってみます〜 松浦どれみ @doremi-m
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