第8話 あらすじの書き方

 あらすじってのは作品を要約したもの……なんだけど、それは作者目線。

 読者にとっては少し異なる。


 自分がタイトルで感じたことが正しいかどうかだ。


 読者はまずタイトルを見て読むかどうかを決める。

 そのまま本文へ進む人もいれば、あらすじへ進む人もいる。

 あらすじを読む際、うまい下手はそこまで重要視しない。タイトルを見た時点で8割がた読むことが決定しているからだ。


 あくまで確認作業。ほんとうに自分の好きな要素が入っているのか、あるいは苦手な設定が入ってないか。

 知りたいのはその程度だ。


 文章にこだわりがある作者ほど、情報がかぶるのを避ける傾向がある。

 タイトルで表した内容とは違うものを書いてしまうのだ。


「これはタイトルで説明したな。じゃあ、あらすじでは出さず別のことを書くか」

 これが失敗につながるときがある。


 作者としてはよかれと思ってやっていることだが、読者としては本当に好きな材料が入っているか疑問に思ってしまうんだ。


 そもそもなろうのタイトルなど、全部説明しちゃっている。

 いまさらあらすじでかぶったところで、どうということはないのだ。


 人がなにかを探そうとするとき、「~と同じようなもの」といった探し方をすることが多い。

 以前見たこの作品は面白かったな。似たような作品はないか? って。

「ざまあ」を面白いと思った人はざまあばっかり読むし、「百合」が好きな人は百合のなかから探そうとする。


 幅広く読む人は、じつは少数派だ。

 ランキングでは常に多数派を意識する必要がある。


 読者が引っかかったワードをうまく補足できているか? あらすじはこれを念頭におこう。


 で、このあらすじ。

 書く上でいくつかの注意点がある。


 まず、説明が必要な単語は極力だしてはいけない。

 聞きなれない単語や作品固有の造語がそうだな。

 説明がなければ意味不明だし、説明したところでジャマでしかない。

 読者はそんなもん知りたくないからだ。文字数をムダにするばかりか、そこで切られる可能性もある。


 あらすじってのは表示される文字数に限りがある。

 総文字数は結構ゆとりがあるが、トップページにのるのは驚くほど少ないんだ。

 青字で書かれた「続きを読む」をタップしないと全部表示しない。

 この手間が意外とバカにならない。すさまじい数の中から作品を探すんだ。損切りされないように注意しよう。

 

 次。人物や固有名詞も可能な限り減らせ。

 読者はあらすじの時点では登場人物の名前などになんの興味もない。たんなる雑音でしかない。

 それがモブキャラだったらなおさらだ。即ブラウザバックは覚悟しろ。


 とくに、読めない名前とか絶対にだすなよ。

 あらすじはルビがふれない。妙に気になって他の文章が頭に入ってこなくなるからな。

 そうだなー、名前をだすなら主人公、ヒロインぐらいがギリギリ許容範囲だ。

 それ以外は「父」「母」「上司」など一般的な名詞で代用しろ。

 それで困ることなど何一つない。


 次。世界観の説明はなるべく避けろ! だ。

 なんの思い入れのない、読んですらいない作品の世界観などダラダラ説明されてもしんどいだけだ。

 読者にとって重要なのは、どんな主人公がなにをするかだ。


 この主人公なら自分の日々のモヤモヤをスカッとさせてくれる。

 主人公を通して楽しい出来事を体験できるかも?

 それが知りたいんだ。


 とにかく、読者の脳ミソに余計な負担はかけないこと。

 あたまがいい、悪いではなくメンドクサイのだ。


 小説の読みはじめは、家電やゲームの取り扱い説明書に似ている。

 ゲームはやりたいけど操作方法やメンドクサイ設定は覚えたくないだろ?

 家電だってそうだ。リモコンを見てみろ、いまだに押したことのないボタンがたくさんあるから。


 まとめ。

 なろう読者は、エロサイトから自分好みの動画を探している。そんな感じをイメージせよ!

 


 これでだいたい自分のしっていることは話しただろうか。

 結局のところ書籍化するためにはランキングに乗るのが一番の近道である。

 なろうに移転する際には参考にしていただきたい。


 ただ……ほんとうにただ個人的に思うことだが、ランキングなどにこだわらず執筆していただきたい。

 自分の好きを前面に押し出し、ついてこられるやつだけついてこいといったスタンスでやっていただきたいと思う。

 しょせんは趣味なのだ。

 読まれるタメにあれこれ工夫しても、本質は変えられないし、変える必要もない。

 一番の読者は自分自身であることを忘れないでほしい。

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