結婚しよう

「ごめん。羽尾はお先生に呼び止められたり、教頭に呼ばれたり、空き教室を探したりして、やっと辿り着けた。何故、自分のクラスに呼ばなかったんだ。」


一希かずきは、白衣を私に着せる。


「ごめんなさい。新田にった君の言われた通りに来てしまった。」


さわられたんだね」


「うん」


「キスもされた」


「ごめんなさい」


道留みちるのせいじゃないよ」


「花村君の事を利用している事が許せなかった。最後に、正義感を出してしまった。」


「だから、言っただろう?彼等は、雄だって」


「そうだね」


道留みちる、結婚しよう」


「今、言う?」


道留みちるが、子供が作れない年齢になってからで構わないから…。でも、一緒には住みたい」


「よろしくお願いします。」


「はい」


一希かずきは、私を抱き締めてくれる。


「ボタンつけてあげるよ」


「坂口君みたいね」


「ハハハ、そうだな。坂口は、小花の服をよく縫っていたな。」


一希かずきは、弾けとんだボタンを拾い集めた。


保健室で、縫ってくれる。


その日の夜、私は、一希かずきに包まれながら眠った。


次の日の卒業式は、あっという間に終わった。


私は、結局、新田にった君に何も教える事は出来なかった。


「やめるのは、残念ですね」


羽尾はお先生、お世話になりました。」


私は、卒業式を終えて辞職した。



あれから、一希かずきと同棲を始めた。


そして、5年後。


私と一希かずきは、43歳で入籍した。


「坂口が、来たんだよ。」


「元気だった?」


「赤池と付き合っていたよ。誰かの代わりをやめるように話したよ。」


一希かずきもやめれたから?」


「ちゃんとやめれたのは、道留みちるのお陰だよ。」


「私もよ。やっと音楽から離れれた。あのね、一希かずき。私、小学校の先生になりたい。」


「いいんじゃないか」


「ありがとう」


私は、一希かずきを強く抱き締めた。


道留みちる、愛してる」


一希かずき、愛してる」


私も一希かずきも誰かの代わりをやめた。

一希は《かずき》は、私に優しく暖かいキスを繰り返した。



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3つの恋のお話。 三愛紫月 @shizuki-r

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