第一章 聖剣召喚

第7話

 おはようみんな! おはよう俺!


 朝だというのに眠い! そして頭が痛い! でも、気分は最高ぅ!


 昨日は結局、ノエルさんとパートナーになれた興奮でなかなか寝付けぬまま…二日連続の徹夜になってしまったわけだが…。


 今日から俺は彼女の聖騎士…!


 寝不足だからといって、へばってるわけにはいかないのだッ!!


「……支度するか」


 昨日、結びの儀を終えた俺たちだが。


 パートナーが決まったからといって、気を抜くことなど出来ない。


 というのも、来週から行われる聖都守護霊廟を目指した遠征。


 この遠征が大きな試練として学生たちの前に立ちはだかるからだ。


 パートナーと共に行うこの遠征では、聖都守護霊廟で課される試練を乗り越え聖剣召喚を成し遂げた者たちのみ学園に戻ることが許される。


 そして、二週間以内に聖剣を得られなかった者たちはアインホルンに在籍する資格がないとみなされ、そのまま退学処分になってしまうのだ…!!


 これは聖都を代表する三校故の厳しさとして学園の外にも知れ渡っており、毎年この時期に三校から出る脱落者を引き取る専用の窓口を設けた学校まで存在するというのだから驚きだ。


 とにかく、何が何でも聖剣召喚を成功させなければ、せっかくノエルさんとパートナーになれたというのにドキドキワクワクなイベントもなにもないまま俺たち二人の仲が引き裂かれることになってしまうっ…!


 それだけは許されない、絶対にだ!!






 ◇◆◇






「来週からは…ついに、僕たちの聖剣召喚がはじまるね」


「聖剣召喚、か」


 聖剣召喚に成功すれば学園から与えられている普遍無数の聖剣ことネームレスから卒業し自分専用の聖剣を手にすることが出来き、聖騎士としてはここからが本当のスタートラインともいえる。


「…面白い」


 俺専用の聖剣!


 正直その響きだけで最高なんだよな~うへへ。


「面白いって。 流石はクラウス、余裕そうだね」


「お前とて、この程度容易いことだろう」


 ランディちゃんは、今回の召喚で呼び出される聖剣もほぼ確定してるわけだし。


 幼馴染のロゼッタと組んで、息ぴったりコンビの二人なら間違いなく今回の遠征は成功するはず!


 親友の俺が言うんだから間違いない。


 太鼓判押しちゃう!


「ふふっ、そうかな? でも、まあ…正直、聖騎士としてやっていくのならこの程度の試練は超えないとだよね」


「そうだな」




「はーい、もうすぐ授業が始まりますよぉ~みなさん席について下さいねぇ~」


「おっと、もうこんな時間か。 それじゃあクラウス」


「ああ、またな」


 聖女は聖女、聖騎士は聖騎士と別れて席についていた昨日までとは違い今日からは自分たちのパートナーと共に固まって席に着く。


「クラウス……その、隣」


「ノエル…どうした? 早く座るといい」


「う、うん…」


「…………。 周りの視線が気になるのか?」


「べ、べつに……そんなんじゃ…」


「堂々としてればいい」


「っ! 貴方は、そうやって簡単に言うけど――」


「来週の遠征」


「遠征……? それが、なんだっていうの」


「そこで、俺たちが一番最初に聖剣を手にする」


「一番って…本気で言ってるの? 」


「ああ」


「でも…私じゃ」


「聖騎士は、聖女がいてはじめて真の力を出せる」


「だから、なおさら…」


「だから、だ」


「え……? 」


「だから一番になる。 そうすれば、お前を取り巻く”この雑音”も消える」


「……! 」




「それではぁ。 授業を始めますよぉ~」


「クラウス……」


「なんだ? 」


「その……ぁ……ぅ…」


「ん? 」


「だ、だからっ…………っ~~~~! もういいっ。 ノエルよ」


「?? 」


「さっき、また私のことお前って言ってたわよ。 パートナーなんだから…。 ちゃんと、名前で呼びなさいよ」


「……すまん」


「ふんっ、気を付けてよね」


「ノエル」


「なによ? 」


「俺は本気だ」


「……」


「一番に取るぞ。 聖剣」


「……うん」

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偽聖女だかなんだか知らないがずっと好きだったこの気持ちは変わらない 猫鍋まるい @AcronTear

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