迷宮の主!?
「……ねえねえ猫ちゃんここってどこか知ってる?」
「にゃぁ?」
猫ちゃんに聞いてもなにも解らないのは分かってるけど、つい話しかけちゃう。
当然、可愛いということしか分からなかったけどね。
でも一人じゃさびしいし、もう少しだけ話し相手になってほしいなぁ。
「私、どうやってここに来たんだろうねぇ?」
いつも通りに寝ていただけなのにいきなりこんな所に来ちゃったのは何故か分からない
こんな所には来た覚えは無いと思うな。
でも、本でこんな雰囲気の所は見たことあるとおもう。
「にゃ〜」
猫ちゃんがとてとてと膝の上に乗って来た!
あったかいふわふわとした感覚がとっても気持ちいい。
しばらく乗っててもらおう。
どうして猫ってこんなにも可愛いんだろう?
いつの間にか手が勝手に猫ちゃんを撫でていた。
これがかわいいの力か!?
よく見たら全身が真っ黒なんじゃなくて足に銀色の線があったり、目元には赤い丸が付いていたりと可愛いだけでなく綺麗も合わさっている。
「あっ……」
「うにゃ!」
猫ちゃんが急に起きあがって岩の隙間に入ってっちゃった。
急に眠たくなっちゃったのかな?
ここで寝てくれても問題ないのに。
どこに行ったんだろう? 追いかけよう。
後を追っていくと、広い空間にやってきた。
相変わらず洞窟って感じだけど、凄く明るい。
そしてその中心に謎の宝石? みたいなのが浮かんでいる。
琥珀……? みたいな色で、形は縦長の楕円形って感じかな。
近付いてよく見てみたら、中に銀色の絵の具を水に落とした様な感じの模様が入っていてすっごく綺麗!
大きさは私の半分くらいの大きさで、すっごく大きい。
凄い、自然にこんなのがあるなんて!
部屋とかに飾ったら良い感じになりそう。
ふと足元を見ると、さっきの猫ちゃんがいた。
というか、あれ?
この宝石って浮いてる!?
取り敢えず無抵抗の猫ちゃんを抱き上げてから宝石の様子を見てみる。
どうやって浮いているんだろう?
色違いの飛○石?
ちょっと言ってみたいことがある。
「バル○!」
ふうぃ〜。
長年の夢が叶ってスッキリした。
バ○スの代償は、心なしか下から刺さって来た冷めたい視線くらいだ。
このくらいなら問題無い、致命傷だ!
たとえ猫ちゃんでも傷つくんだよ!
てかなんなら人からやられるよりも傷つく。
猫ちゃんのちょっともっかいモフらせてもらおう。
拒否権は無い。
猫ちゃんは不思議そうな顔をしながらも受け入れてくれた。
やだこの子マジ天使。
ふう、ちょっと落ち着いたところでこの石、どうしよう?
触ってみようかな?
う〜ん、でも毒があったり放射線がどうとかあるかも知れないからやめよう。
物は試しというけどやっぱり無理。
放射線とかだったらもう至近距離にいるから手遅れなので、それは無さそう。
でももしそうならと考えるとゾッとする。
これからは気をつけよう。
いちよう何かあった時の為に猫ちゃんは隅の方に置いておこう。
「ちょっとここで待っててね」
「にゃ!」
と言いつつも少し離れて振り向くと足元まで来ていた。
可愛い……じゃなくて!
「待てだよ〜ちょっとしたらすぐに戻って来るから、ね?」
「にゃぁ〜」
不服そうにしながらも今度はちゃんと待っててくれてる。
賢いな〜そして可愛いな〜。
よっし、名残惜しいけど行こう。
猫ちゃんとは一旦離れてこの宝石を観察してみよう。
音は‥‥しない。
ずっとみていると中身だけがちょっとずつ回ってる……!
実は宝石じゃなかったの!?
何だろう?
分からない。
仕方ない……勇気を出して触ってみよう。
よし、3……2……1で触る!
3……2…………。
スー……ハーー。
やっぱりどうしよう。
「やっぱりやめ、えっ?……ぅわあ!」
柔らかい何かが背中に激突して来た。
そしてその衝撃で私はこの石に触ってしまった。
石は、私が触れたと思ったら急に輝き出した。
なに爆発するの!?
やっぱり○ルスなの!?
どんどん光が強くなっていく。
石にヒビが広がって来てる。
やばいこれ本当に爆発しちゃうかも!
あああもうだめだ爆発するー!
パキンと透き通った音を発して石が割れ、中から銀色の光の筋が私に向かって飛び出て来た。
ああ、もうダメだ。
もっといろんなところに行ったり見たりしたかったなぁ。
ギュッと目をつむった。
その瞬間、瞼越しに銀色の光がぶつかった。
けど思っていた衝撃はこなかった。
「……あれ?」
目を開くと例の石は無くなっている。
体にも特に目立つ傷も無いし、周りも何一つ変わったところは……!
あれ?
居ない! 猫ちゃんは!?
まさかさっきのナニカは猫ちゃんに当たっていたとか!?
いや、さっき目覚めたところにいるはずっ!
と、すぐに
通って来た道に戻ろうと一歩踏み出そうとしたら、何かに引っかかって転んでしまった。
何だろう? と足元を見ると、猫ちゃんが居た。
「よかった〜! 無事だった〜!」
「ふゃふ〜」
思いっきりお腹をわしゃわしゃした。
なぜか猫ちゃんは、ほっとした様な表情をしている。
可愛い。
<ダンジョンマスター の再設定が完了しました>
<称号『迷宮の主』を取得しました>
<スキル『迷宮操作』『魔物召喚』『眷属化』を取得しました>
<称号『迷宮の主』とスキル『世界樹の本』の存在を確認>
<スキル『世界樹の図書室』を取得しました>
<製作画面に移行します>
え?
何て言ったんだろう?
て言うかそもそも
「誰?」
と問いかけてみるが当然、返事は無い。
「にゃ?」
いや、あった。
猫ちゃんに向けては言った訳ではないけどね。
心配した様子で私の顔を覗き込んでくる。
ちょっと落ち着けた。
今日はいろいろと情報量が多過ぎる。
えっと?
それでこのいきなり目の前に出てきた謎の画面はどうしよう?
浮いてるし。
適当に触ってみたら画面から立体的な地図っぽいのが出てきた。
これが今、私がいる所?
嘘でしょ、出口がない!?
てか狭っ!?
それもそのはず、部屋(?)が2つしか無い。
「もっと広くなれば良いのに」
つい声に出しちゃった。
まあ猫ちゃん以外誰もいないから良いけどね。
ブワって風が来たかと思えば、壁が離れて行った。
どういうこと?
広くなったら良いのに って言ったら本当に広くなった。
……えっ?
いきなり広くなったからか、ちょっと寒い。
なぜか頭が痛くなって来たし、休憩。
一体何が起きているの?
休憩がてら、このよく分からないやつを調べてみよう。
猫ちゃんは全く動じてない。
猫はマイペースでいいな〜。
さっきの謎の宝石とかこの謎現象とか、まるでゲームの中にいる様な気分だ。
うちのダンジョンにだれも来ない! 龍神 蒼 @20210211
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。うちのダンジョンにだれも来ない!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます