登場人物紹介&用語解説(1)



こんにちは。お世話になっております、縹です。拙作「Dear My」をお読みくださり、ありがとうございます。


こちらは登場人物紹介&用語解説となりますが、ちなみにどちらにも現時点の物語では触れていない内容が若干含まれています。あとめっちゃ長いです。無理な人は登場人物紹介のみを閲覧する事を強く推奨します。


※この投稿は「アレストリア東部/敵勢ギルド拠点前・昼」までのネタバレを含みます。ネタバレが嫌な方にはあまり閲覧をお勧めできません。


【補足】用語解説について。〇:項目 →:〇の関連項目 ⇒:→の関連項目



〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜



〇主人公 … 一応そういう事になっています。




ラルフ・バンギュラス

年齢:17歳

性別:男

身長:178cm

体重:70kg

≪霊力データ≫

能力:自然現象系・放電

霊力量:E

身体強化率:MAX 300%

霊力耐性:電撃(Ⅴ)、衝撃(Ⅳ)、高温(Ⅳ)、音(Ⅳ)、閃光(Ⅲ)、対人有毒物質(Ⅱ)、???(?)

≪TIPS≫

 丈の長い黒コートに瑠璃色の瞳を持つ青年。白髪だが前髪の、向かって右側の部分が黒いという変わった髪色が特徴。寡黙で無表情、且つ自らの感情、特に喜びや嬉しさといったプラスの感情に疎い。寝る事が好きらしく、割と寝坊する上に暇さえあれば良く寝ている。

 主な得物は大振りなナイフ一本と切り札である「龍刃」。体術も得意であり、戦闘の際の使用割合はナイフ:体術=4:6くらい。死角からの奇襲、急所への打撃、「能力」の積極的な使用等、一撃必殺の戦法を主な戦い方としている。


【能力:自然現象系・放電】

 ラルフの持つ「能力」。自らの霊力を電撃に変換、任意の方向へ撃ち出したり、身体や武具に纏わせたりする事が出来る、瞬間火力に秀でた「能力」。出力の調整も可能。生物非生物問わず覿面てきめんに有効な「能力」であり、特に生物に対する威力は言わずもがな。

 欠点としては、任意の方向へ電撃を撃ち出した際に途中で方向転換が出来ない事、ラルフ自身の霊力が非常に少なく、そもそも自力で「能力」を発動出来ない事が挙げられる。


【吸収体質】

 ラルフの持つ特異体質。霊力を意思一つで外部から吸収、己の物として取り込み、使用する事が可能。ただ回復出来る霊力量自体を増やす事は出来ず、あくまで吸収した霊力は使ったら使ったきりである。また「能力」を発動している状態の霊力の吸収も出来ない。一応、吸収上限はあるらしいが……?


【「龍刃」】

 アレストリアに伝わる「神話」に存在が記されている、龍の牙より造られた二振りの剣のうちの一振り。剣の持つ特殊な性質(詳しくは用語解説へ)を生かし、ラルフは強大な霊力を持つ者を相手取る場合、「龍刃」で斬った霊力を吸収、「能力」を発動して相手を打ち倒すという戦い方を行う。

 入手経路は不明。本人自身も何故この剣が手元にあるのか憶えていないらしい。




〇敵勢ギルド




ハクア・ガントゥ

年齢:17歳

性別:女

身長:165cm

体重:62kg

≪霊力データ≫

能力:自然現象系・炎

霊力量:?

身体強化率:MAX ???%

霊力耐性:衝撃(Ⅴ)、高温(Ⅴ)、閃光(Ⅳ)、音(Ⅲ)、???(?)、???(?)

≪TIPS≫

 銀髪に赤い瞳を持つ美少女。曰く「油絵からそのまま出てきたよう」。あどけない、眩しい笑顔が出来るのがとても魅力的。分かりやすく単純で争いを好まず、他人の為に涙を流せる優しい性格。ラルフが「敵勢ギルド」と接点を持つ最初のきっかけを作った人物で、彼の事を何故か気に入っているようだ。

 得物を持たず、身一つで敵を一蹴する。特に放出するだけで風圧を生み出す霊力量や、「能力」を発動させながら繰り出される体術は圧倒的な威力を誇る。

 ちなみに当初はかなり露出度の高い服装(ぶっちゃけ胸と下半身の大事な所しか隠してない)にマントを羽織っただけという格好をしていたが、ユーリアのお陰で服は多少マシなものになり、マントはエーティの手によってポンチョ風の上着にアレンジされた。


【能力:自然現象系・炎】

 ハクアの持つ「能力」。自らの霊力を炎へ変換、身体に纏わせたり周囲を一度に焼き払ったりが可能な、広範囲に一様な火力が出せる事が特徴の「能力」。彼女の場合、霊力量もさることながら「能力」の出力も凄まじく、少し本気を出せば火葬場並が平常火力という壊れっぷりを誇る。

 欠点としてはハクア自身「能力」の出力調整が苦手な為、全部を全部消し炭にしてしまう(肉を焼かせるとたちまち炭化、下手すると灰になる)事が挙げられる。



レギン・ヴァルキード

年齢:19歳

性別:男

身長:182cm

体重:75kg

≪霊力データ≫

能力:???・???

霊力量:?

身体強化率:MAX ???%

霊力耐性:-SECRET-

≪TIPS≫

 右目を隠すように伸びた黒髪が特徴の青年。リゼルの兄。シャツ、ズボン、靴のいずれも黒だが、ネクタイは白で上着は赤。公の場では紳士然としているものの、本当は美人に弱く、ハクアの美貌を前に挙動不審に陥っている。ラルフを「敵勢ギルド」に(無理矢理)引き入れた人物。リゼル曰く、行動力の化身。その所為か、何かある度にほぼ毎回、結構な怪我をする。しかも当人は怪我を負っても大して気にしない性格である為、エーティに毎度文句を言われているが一向に改善しないのが現状である。

 得物はそこら辺の武器屋で安く買った剣と「煌刃」。剣術を得意分野としているが、戦闘において終始手を抜いている節があり、ぶっちゃけあんまり大した事が無いように見える。それでも「敵勢ギルド」の面々が彼に信頼を置くのには理由があるようで……?


【「煌刃」】

 アレストリアに伝わる「神話」に存在が記されている、龍の牙より造られた二振りの剣のうちの一振り。レギンはラルフと違ってこれを普通の剣と何ら変わらずに振るうものの、やはり切り札扱いらしく、使用する際は相手を選ぶ。

 入手経路は不明。無論、彼が秘密にしているだけである。



エーティ・アシュレ

年齢:18歳

性別:男

身長:175cm

体重:72kg

≪霊力データ≫

能力:???・???

霊力量:?

身体強化率:MAX 280%

霊力耐性:-SECRET-

≪TIPS≫

 赤みがかった金髪の癖毛が特徴の青年。万能型の常識人で医術の心得があり、日々「敵勢ギルド」全員分のご飯を作り、怪我の事を毎度申告しないレギンに文句を垂れ、兄の行動力に頭を抱えるリゼルを宥める生活を送っている。

 得物は小型ナイフと各種改造及び創作武具。シンにみっちり仕込まれた体術とそれらを駆使してトリッキーな戦闘を行う。また観察眼が鋭く、頭も良く回るようで、再会篇では地下室の存在を言い当てた。



リゼル・ヴァルキード

年齢:16歳

性別:男

身長:172cm

体重:58kg

≪霊力データ≫

能力:超常現象系・空間操作

霊力量:A+++

身体強化率:MAX 200%

霊力耐性:衝撃(Ⅴ)、高温(Ⅳ)、閃光(Ⅳ)、音(Ⅲ)、電撃(Ⅲ)、対人有毒物質(Ⅲ)

≪TIPS≫

 やや細身の少年。ぶかぶかのブーツと緑のベストが特徴。おちゃらけているようだが、基本的に慎重で疑り深い性格。その為、戦闘時や見知らぬ人間相手には人一倍警戒心が強くなる。レギンは実の兄であるが、任務の度に突飛な行動を取る彼に頭を抱えている。

 得物は無く、術式を駆使して「能力」を最大限に活かした戦闘を行う。基本的に中距離からの攻撃を得意とするが、術式の使い方によっては近接戦闘も可能。また術式に関する豊富な知識を生かし、術式を使った装置を作る事で「敵勢ギルド」全体の戦略の幅を広げる役割を担っている。


【能力:超常現象系・空間操作】

 リゼルの持つ「能力」。自らの霊力が及ぶ範囲にはたらく力を強度も含めて操作する事が可能であり、大抵の事は全て出来てしまう極めて汎用性と応用性の高い「能力」。操作対象は既出の物でも光、音、熱、圧力、電場、気流、重力(垂直抗力)と多岐に渡る。

 欠点としては、操作範囲が「自らの霊力が及ぶ範囲全て」である為、特に圧力や重力を扱う時は術式できちんと「能力」の発現範囲を指定しないと、容易に大事故へと繋がってしまう事が挙げられる。要はちょっと使いづらいテレキネシス&サイコキネシス。


【空間遮断術式】

 リゼルがよく使う術式の一つ。自身の「能力」応用の集大成とも言える術式であり、二つの術式に挟まれた空間の内外にはたらく力の出入りを制御する効果を持つ。制御可能なのは光、音、熱の他、空気や霊力、物体の出入りも制御出来る。また霊力と物体の二つの制御対象を設定する事により「特定の生物以外は出入り不可能な空間」を作り出す事も可能。要は超高性能バリアである。

 この術式をさらに応用させ、術式に挟まれた空間内部へ自身が入り、その術式ごと操作して空を飛ぶといった芸当も可能。


【空間転移術式】

 リゼルが良く使う術式の一つ。物理学とは何だったのかと聞きたくなるトンデモチート術式(詳しくは用語解説へ)。だが主な使い道は専ら森を抜ける際の時短である。



シン・スケルス

年齢:24歳

性別:女

身長:156cm

体重:55kg

≪霊力データ≫

能力:自己強化系・反転

霊力量:B

身体強化率:MAX 350%

霊力耐性:衝撃(Ⅳ)

≪TIPS≫

 特徴的な黒装束を着た女性。黄色い瞳と深い青緑色の長髪が特徴。帝国が掲げる指名手配犯の一人。帝国軍の元暗殺者という経歴を持ち、淡々と殺人を実行する冷酷さとは裏腹に、当人は面倒見が良く明るい性格。酒が好きで、昼間から拠点の屋根の上で酒を飲んでいる事も。「敵勢ギルド」最古参であり、フェリーナとは親友同士。

 得物は短剣が二本。隠密技術の達人であり、短剣を用いて吐息の一つも漏らさず、静かに、確実に対象を暗殺する戦闘手段を主とする。ただ体術も暗殺と同じくらい得意である為、こそこそせずにタイマン張っても十分に強い。


【能力:自己強化系・反転】

 シンの持つ「能力」。「能力」を発動した状態の霊力や術式に触れた時、その反対の性質、方向、強さを常に示し、「能力」や術式の無力化が可能な「能力」アンチの「能力」である。「能力」や術式だけでなく霊力による身体強化も無力化出来る為、霊力を戦闘手段の基盤としている相手にとっては正に天敵と呼べる「能力」。

 欠点としては自己強化系故の「能力」の発現範囲の狭さもそうだが、霊力に頼らない戦い方をする相手にとってはあまり意味を成さない事、霊力の塊である黒い生命体を無力化しきれない事が挙げられる。



ユーリア・イーレン

年齢:18歳

性別:女

身長:158cm

体重:53kg

≪霊力データ≫

能力:???・???

霊力量:?

身体強化率:MAX 250%

霊力耐性:-SECRET-

≪TIPS≫

 さらさらとした白髪が美しい少女。何時も丁寧口調なのが特徴。皆を「さん」付けで呼ぶが、シンだけはとある事情に因り呼び捨てで呼ぶ。おっとりした性格で聡明であるが、寝起きや急いでいる時に限り、何故か「敵勢ギルド」拠点の居間に敷いてある絨毯によく躓く。本当に何故だろう。

 得物は拳銃、小銃、狙撃銃を主とした銃火器多数。遠距離攻撃を多用する為か作戦の立案も得意であり、万事をゴリ押しで済まそうとするレギンのストッパーになる事が少なくない。


【小銃型霊力砲】

 込められた霊力を熱線として撃ち出す遠距離兵器、霊力砲の一種。精度は小銃と同程度だが、貫通力に関しては小銃以上の威力を発揮する。込められた霊力の一部しか高熱に変換されない為、光熱と共に霊力も撃ち出しているという特徴があり、それを知っていたラルフはユーリアに霊力砲を自らに撃つよう指示、霊力の吸収を行った。しかしこの霊力砲、帝国軍以外は製造出来ない筈なのだが……?



フェリーナ・メアンドラ

年齢:25歳

性別:女

身長:162cm

体重:52kg

≪霊力データ≫

能力:???・???

霊力量:?

身体強化率:MAX ???%

霊力耐性:-UNKNOWN-

≪TIPS≫

 敵勢ギルドのマスター代理兼手代。編み込んだ赤紫色の長い髪が特徴の麗しい女性。言動、佇まい、全てが淑女の鑑。紅茶を好んでおり、休憩がてらによく飲んでいる。普段、前線に出る事は全くと言って良いほど無い。実は歴オタで多くの書物が部屋にひしめき合っている為、彼女の部屋は足の踏み場が無かったりする。




〇その他




ネフィ

年齢:22歳

性別:男

≪霊力データ≫

能力:超常現象系・遠隔操作

霊力量:A

身体強化率:MAX 230%

霊力耐性:衝撃(Ⅳ)

≪TIPS≫

 風見鶏の洋館に住んでいる金髪碧眼の青年。青い鳥打帽と白いシャツが特徴。母であるマリアンヌを深く愛しており、忠実に従っていた。数年に亘る連続女児誘拐事件の実質的な主犯。一見人間性が破綻しているように見えるが……?

 得物は無く、「能力」や豊富な術式の知識を用いて相手の精神を揺さぶる戦闘手段を用い、表に立たず物事を済ませる事を得意とする。


【能力:超常現象系・遠隔操作】

 ネフィの持つ「能力」。自身が触れた物体を意思一つで自由自在に操る「能力」。要は発動条件付きのテレキネシス。リゼルの下位互換とか言っちゃいけない。

 触れたものしか操る事は出来ないが、逆に触れさえすればどんなに離れていても対象を操る事が出来る為、この力を使ってネフィは家具や食器、カトラリーを武器として使用した。また過去には同じく「能力」で怪奇現象(所謂ポルターガイスト)を長期に亘って起こし、母を陥れた人間を軒並み発狂させた。


【固定術式】

 使っちゃいけないのがセオリーな初見殺し系術式その一(詳しくは用語解説へ)。ネフィはこの非人道的な術式を使って侵入者の霊力を奪い、そこから館に施した様々な仕掛けや死体人形の操作に足るだけの霊力を補っていたが、ラルフによって破壊され、結果館の崩壊を招く引き金となった。因みに破壊された時に固定されていた霊力は全てラルフに吸収、消費されている。


【霊力攪乱術式】

 シンに即死級の罠と称された程の初見殺し系術式その二(詳しくは用語解説へ)。ネフィは母の部屋に入ろうとした侵入者に対し「自殺したい」と強烈に思わせるようにこの術式を母の部屋のドアへ描いて発動していたものの、シンによってあっけなく無力化させられた。



マリアンヌ

年齢:48歳

性別:女

≪霊力データ≫

能力:超常現象系・遷延

霊力量:B+

身体強化率:MAX ???%

霊力耐性:衝撃(?)

≪TIPS≫

 風見鶏の洋館に住んでいる、薄紫色のドレスに白い手袋が特徴の女性。レギンが大通りで助けた妙齢の女性その人。ネフィの母。連続女児誘拐事件の黒幕だが、戦闘能力は一切無い。一見可憐で麗しい女性のようだが……?


【能力:超常現象系・遷延】

 マリアンヌの持つ「能力」。事象の発生を先送りにする効果を持ち、彼女はこの「能力」を使って女児の死体の皮膚組織を固定、死体人形を作り上げていた。欠点としては事象の発生そのものを無かった事に出来る訳では無い為、先送りする期間を制御可能なまでに鍛錬をしないと、予期せぬ時に効果が切れて対象がに戻ってしまうという事態が起こる事が挙げられる。




用語解説




〇アレストリア帝国

 別名アレス帝国、アレス。他国からはしばしば「龍の住まう国」と呼ばれる。八百年の歴史を持つ、不沈にして孤高の大帝国。北は山脈、南は海、東に森、西に荒野と、地形や環境の変化に富む。霊力を使った武力の発展が現皇帝に推し進められた事により他国とは比べ物にならない程の軍事力を持つようになった反面、治世が疎かになり、国内の治安が乱れている。



〇シュダルト

 アレストリア帝国の首都。帝都とも呼ばれる。国内で最も栄えている街であり、昼には大通りと呼ばれる、国を縦断する目抜き通りで沢山の店が繁盛する。また政治の要となる中央政府の建物や、富裕層や貴族階級の人間にのみ住む事が許される中心地区が存在する。また現皇帝が即位してから治安が大きく悪化、一歩路地裏に入れば浮浪者や富裕層を相手取った闇取引がされており、夜になると昼、店のあった場所に娼館が立ち並ぶようになっている。


→貧民街

 シュダルト南部に広がる、アレストリア最大の貧民街。正しく社会の吹き溜まりであり、国内で最も治安の悪い場所である。犯罪の温床と化しているが、そのあまりの危険さにシュダルト警備隊はおろか、その上位組織である治安維持部隊ですら接近が困難な状況になっている。ただその一方で人と人との結びつきが非常に強固であり、貧民街で流れる噂話はどれも一定の信頼性があるという側面も持つ。



〇霊力

 アレストリアが建国される以前から連綿と伝えられてきた、生命に深く結びつく力。基本的により強い霊力(≠霊力量)に引き付けられ、融合する性質を持つ。普段は自然の中に薄く、広く満ちているが、新たな生命が誕生する瞬間、個々が持っている生命の器に収束し、植物の瑞々しさ、動物の本能、人間の精神を形成する。また、生命として複雑であればあるほど持てる霊力は多く、結果として人間が種として最も多い霊力量を持つ。

 更に「能力」を発動、発現するといった形で消費する事も出来、消費した分は時間の経過と共に回復するが、枯渇へ近付けば近付く程に意識が朦朧とし、立っている事すらままならなくなる。そして完全に枯渇すると自然回復が不可能となり、肉体が死を迎えるまで永遠に意識を喪失するという割と恐ろしいデメリットも持つ。軽く千年程その存在を認知されているが、未だに研究対象として扱われている。


→霊力量

 自らの持つ霊力の量。


→霊力の強さ

 霊力量とは似て非なるもの。「二つの霊力が一体化して出来た霊力が、元々の霊力の持っていた性質のどちらに傾くか」で決定する霊力の密度、のようなもの。持てる霊力の器の大きさに比例し、基本的に霊力量が多い者は霊力の強さも大きい。また霊力の強さが強い程、その者の霊力が周囲の環境に与える影響は大きくなる、つまり「能力」の霊力あたりの出力が高くなっていく。ちなみに、霊力を圧縮する事で人為的に強さを大きくする事も可能。



〇「能力」

 多量の霊力を持った結果、人間のみが獲得に成功した、霊力の副産物。自身の持つ霊力を「能力」を発現できる程度にまで強度を上げ、操る鍛錬が必要だが、発現に成功すれば一人に付き一つの力を持つ事が出来る。その種類は無限に近いが、政府の進める研究によって分析がなされ、ある程度の分類はされている。ちなみに「能力」を持つ者は「能力」保持者、または「能力」持ちと呼ばれる。


→能力系統

 「能力」の大まかな性質を「自然現象系」「超常現象系」「自己強化系」の三つに分けたもの。


⇒自然現象系

 自然現象を霊力によって強制的に引き起こす「能力」の総称。並程度の霊力量であっても安定した出力を発揮し、応用性も高い。「能力」によっては超常現象系を凌ぐ出力を発揮することもしばしば。


⇒超常現象系

 自然発生的にはまず起こり得ない事象を、霊力によって強制的に引き起こす「能力」の総称。全てが強大な出力を持つが、発現と「能力」の行使に莫大な霊力量を要する。比率的に最も数の多い能力系統とされるが、殆どの人間は発現すら不可能であり、一般人が「能力」を発現できない原因とされている。


⇒自己強化系

 自らを「能力」から守る為の霊力の上に、更に霊力を放出して様々な効果を自らの身体に付与する「能力」の総称。系統三種の中で最も時間当たりの霊力の消費効率が良く、身体強化率が300%を超える事もあるが、「能力」の発現範囲が「自身」と「自身の触れているもの」に限定される上、「能力」事体も特殊なものが多い為、総じて扱いにくい「能力」となっている。


→身体強化

 「能力」を発動する際、自分の「能力」から身を守るために自らの霊力を使って身体を強化すること。また、副次的に身体強化率(後述)の倍率に合わせて身体能力を向上させたり、霊力耐性(後述)によって似たような「能力」から受けるダメージを軽減または無効化する事が可能。


→身体強化率

 ある一定の基準値を定めた上で、「能力」を発現した状態での身体能力の値を通常の状態の身体能力の値で割った値の事。通常150(五割上昇)~300%(二十割上昇)が普通の値であるが、自己強化系の「能力」を持つ場合や、そうでなくても稀ではあるが、300%を超える値を出す人間も存在する。


→霊力耐性

 「能力」から身体を守る為にある、霊力自身が持つ特異的な耐性の総称。衝撃、高温、低温、電撃、閃光、音、対人有毒物質の七種類に大きく分かれ、更にそれぞれ五段階の強度を持つ。


⇒衝撃耐性

 霊力耐性の一種。強い衝撃を伴う「能力」を持つ場合に発現。強度の数字が高ければ高い程、外部からの強い衝撃に耐える事が出来る。また「能力」によって身体強化した状態での自らの攻撃によって発生した衝撃から自らを守る際に不可欠である為か、身体強化率と衝撃耐性の強さは比例するという特徴を持つ。


⇒高温耐性

 同上。高温を伴う「能力」を持つ場合に発現。強度の数字が高ければ高い程、より高い温度に耐える事が出来る。


⇒低温耐性

 同上。低温を伴う「能力」を持つ場合に発現。強度の数字が高ければ高い程、より低い温度に耐える事が可能。割とレアな耐性だったりする。


⇒電撃耐性

 同上。電撃を伴う「能力」を持つ場合に発現。電撃に関する全ての事象に対して耐性を示し、これ一つで衝撃、高温、閃光に対する耐性を得る事が可能(但し同強度である場合、衝撃耐性、高温耐性、閃光耐性の方が得られる耐性は高い)。

 固有の耐性としては、電撃を受けた際の身体硬直や麻痺等、神経に受けるダメージを軽減、無効化する事が可能。


⇒閃光耐性

 同上。強烈な光を伴う「能力」を持つ場合に発現。強度の数字が高ければ高い程、急速な光度の変化に耐性を得る事が可能。


⇒音耐性

 同上。高周波や低周波、爆音等、聴覚に影響を及ぼしかねない「能力」を持つ場合に発現。強度の数字が高ければ高い程、聴覚に関するダメージを軽減、無効化する事が出来る。


⇒対人有毒物質耐性

 同上。人体に害を及ぼす物質を生成する「能力」を持つ場合に発現。強度の数字が高ければ高い程、高い毒性に耐える事が出来る。(Ⅳ)以上の強度を持つものは低温耐性より遥かにレアだったりする。



〇術式

 強大な「能力」を有する人間が霊力及び「能力」の制御を行う為の、古代語による霊力への強制命令式。術式を発動させる対象(何を)、どの霊力に拠るものか(誰が)、発動させた際の効果(どうしたいのか)を円形に記して直接霊力を流すと、文字に沿って流れた霊力が術式と成って発動、書かれた内容の効果を半永久的且つ安定して発揮するという優れもの。

 ただ欠点は幾つか存在し、拠る霊力が記されたものと違ったり、「能力」で発現可能な効果の範囲外であったりすれば発動しない。また何らかの方法で霊力が分断される等して破壊されると、記された物体の崩壊を伴ってその機能を失ってしまう。


→術者

 術式を使う「能力」を持つ者の総称。術式使いとも。


→一般化術式

 「能力」を持たない者に「能力」を持つ者と同程度の力を得させる為に帝国によって開発された術式。通常の術式と違う大きな特徴としてはどの霊力に拠るのかを明記せずとも発動可能、つまり霊力さえあれば誰でも同じ術式を使用出来るという点である。この非常に便利な特徴ゆえに帝国軍ではこの術式によって様々な効果が付与された武具を量産、戦力の増強を図っている。ちなみに霊力砲もこの一般化術式による産物である。


→霊力負け

 術式が超強力な霊力に曝露された場合に起こる現象。術式に流れる霊力が曝露している霊力と同化、変質し、最終的には術式そのものが侵食されるというもの。平たく言うと霊力負けを起こした術式はほぼ確実に暴走する。

 その安定さ故に物理的、霊力的干渉には基本めっぽう強い術式だが、霊力が深く関係している以上、超強力な霊力に曝露された際の影響は免れられず、一度暴走すれば何が起こるか分かったものではない。その為、一般化術式には霊力負けを起こす直前に自壊する安全機構が組み込まれている。


→固定術式

 その名の通り、霊力を固定する機能を持つ巨大な術式。発動に強力な霊力を要し、発動する際には決まって霊力を圧縮する為、膨大な霊力量を要するが、一度発動さえしてしまえば固定した霊力が尽きるまで霊力を固定し続けることが出来、発動した者はその霊力を自由に扱えるという、一見すれば便利な術式。

 しかしその性質はあくまで「固定」であり、術式を発動した者以外で、ある一定範囲に存在する生命体の霊力を強弱関係無しに侵食して根こそぎ奪い去る、一般の人々や動植物はおろか、熟練の『能力』保持者ですらこれの目の前に放り出されれば間違い無く霊力を奪い尽されるという非常に凶悪な術式である。しかも発動後はこれといった欠点が無く、総合的に見てもほぼノーリスクハイリターンという質の悪さも持つ。

 術式を使う者の間では暗黙の了解でその使用をタブーとしているが、主に「並程度の霊力量で超常現象系の『能力』を発現したい者」によって密かに使われているのが悲しき実情。


→霊力攪乱術式

 発動に要する霊力量は固定術式と同等、術式の複雑さに関しては固定術式以上という、数ある術式の中でもかなり扱いづらい術式。

 効果は範囲内に居る人間の洗脳であり、発動している状態で効果範囲内に入った対象へ向けて超強力な霊力を放出、対象の持つ霊力に霊力を無理矢理混ぜ込み、霊力を介して対象を洗脳するという凶悪性を持つ。放出する霊力にはある程度の指向性を持って情報を持たせる事が出来、好きなように洗脳を施す事が可能。固定術式と同じく膨大な霊力を圧縮、超強力な霊力として扱う術式である為、目の前に放り出されればほぼ例外無く万人がその効果を受ける事となる。

 しかし欠点が幾つか存在し、まず動植物に対しては無効である点、精神を洗脳する事は出来ても完全に支配する事は不可能な為、洗脳する内容と現実とで辻褄が合わない場合、それを対象に気付かれると完全に洗脳が無効化されてしまう点が挙げられる。


→空間転移術式

 どうして出来たのか全く分からない、ネタみたいな奇跡の術式。効果は二つの術式内に存在する、指定された対象の完全な入れ替え。片方の術式の中に居る人間と、もう片方の術式の中に有る同体積分の空気を対象として指定、入れ替えをすると、何とテレポートが出来てしまう。完全に物理学への挑戦でヤバい。欠点を挙げるとするなら、少しでも術式からはみ出すと対象として指定出来ない事、固定術式や霊力攪乱術式程ではないとしても、割とバカにならない霊力消費量か。

 ちなみに、リゼルの作った通信機(仮称)はこの術式を応用させて作った物だったりする。



〇神話

 現在のアレストリアの地に住んでいたとされる先住民が書き記した、遥か昔、二頭の龍なる存在に人々が助けられながら生きて来た時代からアレストリア帝国が建国されるまでが、龍の教えを記すという形で描かれている物語。全文が解読されこそしているが、その内容が真実であるか否かは定かではない。


→古代語

「神話」に使用されている、術式としての効果を発揮する魔訶不思議な文字。殆どが解読されているが、一部解読されていない文字も存在する。


→「龍刃」&「煌刃」

 「神話」にも記されている、特殊な素材(神話内では番の龍の牙と記されている)で作られている剣。共に鋭い切れ味と銃弾を難無く弾き返す程の強度を持ち、霊力を斬ったり、刀身に留めたりする性質を持つ。鞘らしき鞘は無く、代わりに強靭な晒状の布を鞘としており、黒い刀身、白い刃、白い鞘を持つ短剣を「龍刃」、白い刀身、黒い刃、黒い鞘を持つ剣を「煌刃」と呼ぶ。



〇帝国史書

 アレストリア帝国建国からここ最近の歴史までが記された書物。帝国建国時の話が「神話」と違っている点があり、どちらが真実なのか不明な点以外は、極めて信頼性の高い歴史書である。



〇「ギルド」

 瓦解した革命軍が形を変えた、ギルド制の組織。酒場として使われている事が多いが、人々から寄せられた依頼を掲示板に貼り、依頼を熟す人を募ったり金銭の授受を行ったりするという、仲介の役割を果たすのが本来の機能。雇用を生み出す為に貧困層を主な募り先とし、建物はシュダルト南部、国内最大の貧民街の入り口にある。


→革命軍

 皇帝の為政に異を唱えた民が武装蜂起し、結成された軍。当初は順調に規模を拡大していたが帝国軍によって瞬く間に鎮圧され、結成二年で瓦解した。


⇒白い髭の男

 「ギルド」を経営する、所謂ギルドマスター。革命軍元帥殿とフェリーナから呼ばれているが……?



〇「敵勢ギルド」

 貧民街でその存在を噂されている、謎の多い組織。その正体は、早い話が殺し屋集団。死人や重体の人間が出た依頼など、大きな危険を伴う依頼に関して「ギルド」が依頼主の報酬に加えて更に報酬を上乗せして「依頼の解決」を依頼する先であり、その内容は殆どが人殺しや組織の徹底的な壊滅である。


→「彼」

 「敵勢ギルド」を設立した人物で、三年前に失踪するまでマスターを務めていた。フェリーナはその代理にあたる立ち位置である。フェリーナによって「ゼド・バートン」という名前が明らかになっているが、どうやら偽名らしい……?



〇黒い生命体

 アレストリア東部にて目撃される、謎の黒い生命体。性質は凶暴で、視界に入った動物は人間も含め、基本的に全て殺そうとする。「敵勢ギルド」の面々からは「バケモン」「黒い生き物」「怪物」と、色々な呼び方をされている。その正体は何らかの過程を経て収束した霊力の塊であり、動物を模っている場合が多い。どれもが黄色く輝く核を持ち、それを破壊されると消滅するが、破壊されない限りはどの部位を破壊されようと延々と再生し続ける。どの個体も高い知能と能力を持ち、中には攻撃の当たらなさに苛立ちを見せる等、人間のような挙動を見せる個体も存在する。

 何らかの「能力」によって造られているようだが、何故かシンの持つ反転の「能力」があまり効かない。

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