カラフルキーコレクション 彩色迷宮
仲仁へび(旧:離久)
第1話
「赤の迷宮」
小さな少年はとある迷宮に迷い込んだ。
その迷宮は、カラフルな色とりどりの迷宮。
赤、青、紫、黄色、緑、の五つの迷宮に分かれている。
異界へつながる扉をあけて、まず目の前に現れたのは赤の迷宮。
少年は、真っ赤に燃える迷宮の中を歩いた。
とても暑くて、汗がながれてやまない。
早く攻略しないと熱中症で倒れてしまう場所だった。
少年は駆け足で迷宮をかけぬける。
そして、迷宮の奥にいくつかある、あつくない炎を見抜いて、その炎の中から赤の鍵をとりだした。
少年は最後の扉にカギをさして、赤の迷宮をクリアする。
「青の迷宮」
次に扉を開けたら、そこは青の迷宮だった。
床には数十センチのひたひたの水。
そこは、冷たい水に満たされた迷宮だった。
少年は凍える想いをしながら、青の迷宮をかけぬけた。
じっとしていたら身も心も凍りつきそうだった。
やがて、奥で氷の中にある鍵を発見する。
とても固い氷の中で凍っているため、鍵を取り出す事ができない。
少年は赤の鍵を使って、炎を出現させた。
すると、氷が溶けだして、青の鍵を手に入れる事ができるようになった。
青の迷宮をクリアした少年は、扉をあけて次の迷宮へと進む。
「紫の迷宮」
少年が三番目に訪れたのは紫の迷宮だった。
その迷宮は毒のガスがたくさん満ちていた。
視界がわずかしか効かなくて、少しの先も見えない。
少年は急ぎながら、手探りで迷宮を進んでいった。
しかし、紫の迷宮は広大だった。
毒がまわった少年は力つきそうになる。
そこで、青の鍵を使った。
少年の手のひらの中に、澄んだ綺麗な水が出現する。
それを飲んだ少年は、すっかり体調を回復させて、先へ進む事ができるようになった。
奥にたどり着くと、紫の鍵があった。
毒の沼の中に沈む鍵が。
少年は沼の中に手をいれて、鍵をとりだす。
すぐに体調が悪くなったが、青い鍵で水を作り出して事なきを得た。
少年は扉をあけて、紫の迷宮をクリア。
先へ進み続ける。
「黄色の迷宮」
黄色の迷宮は、砂の多い迷宮だった。
砂嵐がひっきりなしに起きて、視界がさえぎられる。
それだけでなく砂だらけの足元は、とても動きにくかった。
少年はゆっくりと一歩ずつ先へ進んでいく。
時間をかけてたどり着いた奥には、大きな砂の城があった。
階段などの、のぼるところのない砂の城の上には、鍵が飾りつけてあった。
少年は、紫の鍵を使い、毒で砂の城をとかした。
そうすると、砂の城はみるみるとけて、黄色の鍵を得る事ができるようになった。
少年は黄色の迷宮をクリアした。
「緑の迷宮」
最後に訪れたのは、緑の迷宮だった。
緑の迷宮は、鬱蒼とした森がどこまでも続く場所だった。
少年はぼうぼうと生い茂った草をかきわけて進む。
木の根に躓かないように慎重に奥へ進んで行くと、大樹を見つけた。
その大樹は何百メートルも幅のある大樹だった。
その大樹の中に、緑の鍵はある。
大樹は透明でガラスの様に見えたが、簡単には壊れない。
やわらかく、弾力性があり、傷つけるとすぐに再生した。
少年は黄色の鍵を使った。
すると大樹がみるみるうちに乾燥していって、中にある緑の鍵を取り出す事ができるようになった。
少年は緑の迷宮をクリアした。
全ての迷宮をクリアした少年は、元の世界へと戻っていく。
少年が手にしたのは燃えるような激しい意思、深い海のような思いやり、誰かを拒絶する毒々しい気持ち。
満たされない事を知る乾いた心。
誰かを慈しむ事を知る心だった。
少年は、元の世界で生活していく。
迷宮に挑む前、いつも通りに。
カラフルキーコレクション 彩色迷宮 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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