ザ・インターバル 🪁

上月くるを

インターバル 🪁




 標高2000メートルの高原の頂上に、ひときわ高い3基の鉄塔が立っています。

 そこからふもとになだれる電線に、すずめのオバサンたちが大勢集まっています。


 ぴーちくぱーちく話していることを聞いてみれば、どうやらなにかの講座みたい。

 ああ、読み聞かせの?! どうやら子どものすずめに童話を読んでやる会らしく。


 みごとな白髪に老眼鏡をかけたオバアサン先生が基本的な発声の仕方を猛特訓中。

 ふだんは口やかましいオバサン連中に有無を言わせずオノマトペを教えています。



 ――さあ、みなさん、よろしいですか?🐥

   では、最初からいきますよ、それ!🐤

   


いそいそ

うきうき

かさかさ

からから

くるくる

こつこつ


****  


さらさら 

すいすい 

すたすた

たんたん

ちかちか 

つるつる



 ――だれですか? 「うちのとうちゃんみたい」と言っているのは。(笑)🎯

   ちょうどいいわ、このへんで1分間のインターバルを入れましょうか。🍇 



 オバアチャン先生の人気は、どうやらこのあたりにあるみたいですね~。(*'▽')

 一ちゅん、二ちゅん、三ちゅん、四ちゅん……六十ちゅんを数えて講座再開です。



てんてん

とんとん

はらはら

ぴかぴか

ぺらぺら

ふらふら


****  


ふわふわ

ぽろぽろ

むくむく

めそめそ

るんるん

わくわく



 西の山脈は標高3000メートル級ですが、東山からはほぼ同じ高さに見えます。

 パーテーションのような山並みに、真夏の夕日がゆっくりとかたむいてゆきます。


 高原一帯に咲き揃うニッコウキスゲが、それはみごとな黄金色に輝き始めました。

 よく見れば、うすむらさき色のマツムシソウも、可憐な花弁を開き始めています。


 ここの夏は短いので、読み聞かせノウハウも早くマスターしなければ……。🏵️🌿

 気合を入れ直したオバアサン先生は、オノマトペのリピートを三たび指示します。

 


 

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