第4話 エピローグ

そして救急車で病院へ運ばれ、処置をしてもらい鈴木さんは助かったのだ。それから精神科にすぐに受診そこで自分の事を幼少期から先生に語り検査も受ける。すると鈴木さんは発達障害だったのだ。


「鈴木さん、どうしてここまで放っておいたんですか?今まで誰も発達障害の事を指摘されなかったのですかご両親も」


医師にそう言われた。それと同時にやはり自分は発達障害だったんだと思った鈴木さんは安堵な表情をしたみたいだ。


両親は病院まで付き添ったあとはまるで他人事のように去っていった。浩司はもう大人なので、と言い残し。

おそらく自分らが責められるのが明白だったため逃げたのだろう。


「両親や上司が言うには発達障害は自分にはないと言ってました。もっと酷い人はたくさんいると」

その言葉を聞き、黙る医師。

「先生、もう僕に生きる道はないのですか?」


「あります。それは障害者雇用として働く会社です。特例子会社というところで働くというのはどうでしょうか?配慮もしてくれるし、気持ちも今よりは楽になるし、業務もしやすくなると思います。考えてみてはいかがでしょうか?」


「初めて聞く言葉だ。知らなかったです」

それからは鈴木さんは何回か病院に通ううちに、まず働くことを最優先に考えるようになった。


最低限のスキルをもう一度学ぼうと支援機関や職業訓練所というところもありそこで自分と同じような病気の人とスキルを学ぶ。


◆◆◆


鈴木さんは無事に障害者雇用の特例子会社と呼ばれる会社で、無事入社することが出来た。今度は自分の障害をオープンにするという事で鈴木さんは精神的にも回復し、働けるようになった。


会社に入り最初は不安や緊張で上手くいかなかったけれども、自分の特性を理解した上で働ける。そして配慮もされるのが特例子会社というところ。


鈴木さんの場合は、少々過集中気味なところがある。なのでその特性に合った方法で業務に取り組むのが、1番良い方法である。


鈴木さんはミスが続いてしまったとき今までの上司からは罵詈雑言ばりぞうごんばかりだったが、今回は全く異なる回答で鈴木さんはとても驚かれた。


「まだ入社して期間は短い、焦らずゆっくりとやっていこう」

「僕はまた会社に迷惑かけるような出来事が起こるのが怖い。でも、役に立ちたい」


「大丈夫必ず出来るようになるから。だから解らなかったら聞いてね」


鈴木さんは今までの上司からはそんな事を言われたことがなく、歓喜のあまり泣いてしまったのです。


鈴木さんの社会人としての人生にそういう言葉を貰った事が一度もなかったので、本当にこの言葉が嬉しく思い、四苦八苦しながらも業務に励み、鈴木さんはとても輝き始めた。確かに人よりも時間はかかるかも知れませんが、この会社で今もなお頑張っています。


仮に業務の失敗をしてしまっても、鈴木さんなりの伝え方で言えば、きちんと話をすればやめてくれますし、改善もします。


どんなふうに言うかは、優しく相手のプライドを傷つけないようにかな。鈴木さんの人柄、真面目さを考えればそのほうが伸びます。それで出来た時はきちんと褒める。



今回ここまで語った人は何者かとみなさん気になりますよね。実は私はそんな一生懸命な所や優しい所に惹かれ、鈴木さんの事を好きになりました。もちろん鈴木さんの発達障害の事も受け入れていますよ。


そうなんです。実は、私が鈴木さんの上司で周りのみんなに今は内緒でお付き合いしています。だってここで聞いてる人にも本当の名前も言えませんから。


付き合ったきっかけはあの時に鈴木さんが流した涙でした。あとは私のほうから少しずつ歩みよりました。


また鈴木さんもこのような形になるなんて思わなかった事でしょう。

人の人生はどうなるかなんて判らないものです。


きっと今悩んでいるみなさんもこの先どうなるか判りませんが、きっと幸せな道もどこかにある。そう思いたいですよね?



ー完ー












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人の人生はどうなるかなんて判らない katsumi1979 @katsumi2003

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ