第2.5話





 ◆



「藍沢くん?だったかな、このあと少し話したいことがあるんだけどいいかな?」


「え?別に大丈夫だけどなにか僕に用事?」


 帰りのHRがおわって僕はさっさと帰ろうと支度をしていると急に話しかけられたので急いで


「うん」


「いま、ここでじゃだめかな」


「うーん、ちょっと大事な話だからさ、別棟に使われてない教室があるのはわかるかい?」


 別棟の…?あぁ、3階の端っこの…でもそこに呼び出すってことはやっぱりあのことだよな


「わかった」


「じゃあそこに、1で、きてね。来なかったら…ね?」


 なるほど、予想がが当たったみたいだ。

 さしずめ九重さん関連の話だろう、こんな早く呼び出されるとは思わなかったけど


「じゃあ、まってるね」


「うん」


 にしても、僕が九重さんといるとやっぱりこうなるんだろうな…まったく、面倒くさいなぁ…それはそうと


「はやくいこう」



 ◆



 ここは本校舎と繋がっている別棟の端の空き教室。

 なぜこんな所に呼び出されたかと言うと朝、九重さんと登校したのが不特定多数の人に見られたのが原因だろうな

 まったく…彼女といるだけでこんな目にあうのか


「ねぇ、聞いているのかい?」


「あー、ごめん。少し状況を整理できなくて」


「まったく…なんでこんな奴が…とにかく!金輪際、彼女と話したり不用意に近づかないでくれるかい?」


「そんなこと言われても僕は関わりたくて彼女と関わってるわけじゃないって」


 そう、実際彼女と僕はただのクラスメイトでありであり、偶然住んでいるアパートの部屋がたまたま隣だからだ、関わるなと言われてもそれはちょっとな


「じゃあなんで君のような人間に彼女のような可憐な方と関わっているんだい?」


「それは…」


 ここで彼女との関係を言えばここだけで留まらず学校中に絶対広まる。それだけは彼女にとっても僕にとっても良くない


「理由がないならいいじゃないか、それとも何か言えない理由でもあるのかな?」


 いえない…てか言えるわけがない。にしてもやっぱりこういう奴なんだな。


「新庄くんはさ、なんで九重さんにそんなに固執するの?君みたいにカッコイイなら言い寄ってくる人は沢山いるんじゃない?」


「まぁ、何も持ってない君には分からないだろうね。教えてあげるよ。僕の家はお金も、権力もなんでもあった。もちろん君の言った通り女性なんて思わせぶりな行動をすればすぐに言いよってきたね、だけだしね」


 ……ほんとにクズだな、こいつは


「だけど彼女は違った、可憐な美貌、聡明な頭脳…切り出せばいくらでもでてくるさ。そして彼女は僕に惹かれなかった、何度もアプローチをし、あまつさえ告白したにも関わらず彼女は僕になびかなかった」


「それなのに君みたいな凡人と一緒にいるだと?そんなことが許されるわけが無い!彼女は僕のものだ!僕のもの以外ありえないんだ!」


「だから君は目障りなんだよ、君みたいな凡人が。わかったかい?わかったなら早く消えてくれない?」


 こいつ…終わってるな、九重を自分のものにしたいだと?そんなのただの駄々をこねている子供だろ。手に入らないから邪魔なものを消す、そうやってきたんだろうな、いままで。でもそんな奴に九重は…


「そんなことをしたってあいつは、お前に振り向かないぞ」


「お前…いい加減にしろ!!!」


 そう叫ぶと新庄の近くから男が1、2・・・ざっと6人くらいか。1人で来いっていうのにお前は仲間連れかよ…あぁ、おわったな


 ◆


 何分経っただろう、1時間?はたまた10分?もしかしたら1分も経っていないのかもしれない、どんなに殴られたか、蹴られたか分からない。


(意識が遠のく…だめだ、このままじゃもう…なら、これでも、くらえ!!)


 たまたまポケットにあったモバイルバッテリーを俺は今持てる力を振り絞り新庄に向かって投げた。しかしそれは必然なのか、それとも神様のいたずらなのか



 ーーーー




 ◆



 そこからは早かった、学校でも嫌な意味で有名な2人、『佐藤』と『井上』は息のあった連携で全員を一瞬で片付け、最後に新庄に向かって


「えーっと、んん?あー、思い出した。ついでに言っとくけど、お前の親、結構裏でえぐいことしてんの知ってる?」


「は?僕のパパが?裏で?そんなことしてるわけないだろ!最近だって…」


「マンションを買ってもらって、ブランドのバッグ、洋服…その他沢山買ってもらったんだろ?」


「なっ、なんでそれを…」


 …いや、なんで知ってるんだよ。もしかしてストーカーしてる、とか?


「相変わらず嫌な趣味してるわね、あなた」


「趣味じゃねぇ、の都合上仕方なくだ」


 仕事?でも俺らはまだ高校生だし、仕事と言ってもバイトだけどそんなバイトなんて無いはず…


「まぁここでは深くは話さないけどさ、でももしこれが本当だったら…」


「帰ったら家、ないかもね」


 そう言って彼は新庄くんを殴り飛ばし、僕に向かってこれからも面白いものを見せてねと言って帰った。これからも?僕は彼に何も見せた記憶はないけど…とりあえず帰らないと校門で待っている彼女に何を言われるかわかったものじゃない



 ◆



 急いで支度をして帰ると校門にいる九重に早速話しかけられ


「藍沢くんは私を何分待たせるつもりですか…ってどうしたんですか!?その傷は!」


「まぁ色々な、後で説明する」


「もう、なんで言ってくれなかったんですか!早く帰って手当しますよ!」


「はいはい」


「あなたっ人は適当なんですから!だいたい…」


 あー、もうめんどくさいなぁ。でも、まぁ、そんなに悪い気はしないかもな


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ラブコメは見てるくらいがちょうどいい @sirousa212

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