第5話 影王
裏の
ということは、あの
俺はブチ犬を睨みつけた。
「お前、俺を利用したな」
「はい! すみません!」
腰を九十度に曲げやがった。なんて素直なやつだ。
そんなつもりじゃないとか言い訳しやがったらぶん殴ってやることもできたが、これじゃあ俺が悪者になるじゃねーか。
めいいっぱい煙を吸い込んで両鼻から吐き出した。
鼻から煙を吐くのは好きじゃない。鼻毛が伸びるからだ。
それはガキの頃と変わらない正義感に
ブチ犬は慌てて声をひそめるのも忘れて口を開いた。
「
「俺の名を出して、中で捜査させろと
「迫っていません。お願いしたんです。自分が捜査させてもらえないなら
「ったく」
ブチ犬はそれなりに表の
都市伝説の中の
ヨーロッパのロスチャイルド家・アメリカのロックフェラー家と同様に、日本の
二に人がつくと『仁』となり、頭が最後についているのは、神である
ブチ犬の知識はこの程度だろう。
小学生だった俺は十も歳の離れた兄貴にテレビで言っていたことは本当かと聞いた。
兄貴は、都市伝説だと言っているだろうと笑い飛ばした。そして、腰を曲げ “
その顔はいつもの優しい兄貴だったが、声だけが、なぜだかとても恐ろしかったことを覚えている。
それ以来、
しかし、俺は兄貴は本当のことを言ってくれたと感じていた。
ならば
それでも万が一、捜査上に名があがったら俺が捕まえてやると心の中で正義の
それをブチ犬が目の前にさらしてくれやがった。
まだ休暇をとってプライベートで捜査した方が表沙汰を嫌う
しかし、ブチ犬は俺に正式な
面倒な事件とは思っていたが、まさか実家の
舌打ちしか出てこない。
「そいつは
「はい。しかし、本気にはしていない様子でした。やれるものならやってみろ的な」
「だろうな……お前が
有名な都市伝説だ。
まさか
まあ、その、万が一が本当に降りかかって来るとは俺も驚きだが。
それにしてもブチ犬の印象だけで、そいつが自殺を
「とにかく会ってみて下さいよ」
そんな見合いみたいな捜査依頼があるか?
俺の経験上、とにかく一目だけでもと、すすめられた女はたいていがブスだ。
ほんの少し顔が良くても、刑事と付き合ってみたかったとほざく女のどこにそそられる?
一度、爺さんが持ってきた見合いをイヤイヤ受けたが、相手は二人きりになると
ならば、この女と結婚すれば面倒な見合い攻撃を終らせられるかと思ったが、次男だとは聞いていなかったと、お断りされた。
おふくろの中で俺の幼稚園からの失恋記録が更新されたことになり、しばらく
『
まったく迷惑な話だ。
で、話を戻そう。あ、タバコが切れた。
俺はセブンスターの空袋をグシャッと握りつぶした。
俺がコンビニに入ろうとすると、ブチ犬はガキの頃と変わらない満面の笑顔で追いかけてくる。
カゴを腕にかけ、ひげ剃りはあるのか下着は何枚持ってきただの、うるさくてかなわない。
そういえば、なぜブチ犬の家に泊まれないのか聞いていなかったな。
それを口にするとブチ犬は明らかな動揺を見せた。
《あとがき》
おはようございます。
お仕事でっせー!
今日も頑張る〜٩( ᐛ )و
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