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 隣の席のヤンチャそうな男子生徒はニコニコとしながら、話しかけてくる。


「俺、小川っていうんだ。よろしく」

「よろしく」

「ハルカゼさんと幼馴染って言ってたけど、小学生の頃から?」


 俺は昔のことを思い出しながら、小川に語った。


「ハルカゼと仲良くなったのは幼稚園児の頃だ。ずっと誰にも話しかけないでむすっとしているように見えたから、よく話しかけるようになった」

「むすっとしてるから、話しかけるようになったのか?」

「俺たちに敵意を向けているなら、その理由を知りたかった。だって、何も悪いことをしていないように思っていたから。すると、話しかけられたハルカゼは『よかった』『今日も話しかけてくれてありがとう』なんて言ってくるものだから、俺は正直わけがわからなかった。でも、ハルカゼが面白い人だってちゃんと分かった。それから、小学生になると一緒に登下校するようになって、放課後も遊んだりするようになった。な、ハルカゼ?」


 俺がハルカゼの方を確認すると、彼女はほっぺを赤くしながらこくりと頷いた。

 自分の昔話をされて、恥ずかしかったか?


 俺は小声で彼女へ謝罪した。


「ご、ごめんハルカゼ。勝手に言っていいことじゃなかったよな?」

「ううん、別にいいよ。わたしもコウのこと聞かれたら、こんなにちっちゃくて可愛かったんだよって話すから」

「えー、勘弁してよ」


 小川はそんな俺たちの様子をニヤニヤと見守ると、愉快そうに話した。


「なるほど……。これからよろしくな? 大丈夫。君たちの尊いやりとりの邪魔にはならないからさ。でも、もう高校生なんだから、男子は男子と、女子は女子と組んだ方がいい授業ってあるだろう? そういう時に語り合おうぜ」

「語り合うって何を……? ま、別にいいんだけど」


 俺が若干怪訝そうにしながら笑いかけると、小川も笑った。

 案外、いいやつそうだ。


 小川は言葉を続ける。


「ハルカゼさんにも女子の友達を紹介してやろう」

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