それでも嘘つきさんはそばに居た

@yurizuki222444

めっせーじ

おはよう、昨日は一日どうだった?僕は結構つらいことがあってさ。

そこから始まるメッセージ。話しかけられたのは1ヶ月ぶりか、辛い時も苦しい時もお互いどんな状況でも傍にいようと約束したのは2年前。

どうにもだるさを訴える身体を無視し、起き上がって返事をする。


おはよ、俺はなんもなかった。何かあったの?聞くよ。

たったそれだけのメッセージに、指は震えて心は踊り、そして自分のつらさを声に出せない自分への恨みで頭は重たくなった。


彼は私生活でもモテてしまう。きっとその心が別の人へ向いてるのも知っている、儚いものだと今の生活を恨んだ。


「久しぶりに話したいな…」


声が聞きたい。話しかけて、眠そうな彼の声を聞いて、寝息を聞きながら自分も眠りにつきたい。

その考えは文字になることは無かったけれど、伏せるだけでいいだろうと思った。


君の声。君の顔。君の肌。


その全てがすきで付き合い始めて、でも自分の重さで君を傷付ける事は沢山あった。


情けが無いな、示しがつかない。君に会いたくとも声を出せない自分が馬鹿みたいだ。


涙ながらに訴えてくれた、寂しい。話したいがもうほぼ無いのだろう。

彼からの愛はもうない、別に向いている。でもバイバイが出来ない


「浮気なんかしないよ、僕は君だけがいいの。絶対にしない。」


嘘つかないでね。

きっと子供の指切り。風のように歳を取り、今はそんな約束も絶対も、造花のようなものだった。


他に好きな人とか出来てない?と、ただ一言問うてみた。


いないよ、君だけ。


その言葉に心が壊れていくよう。壊れて、溺れて、まだ俺だけを信じている。


嘘つきと泣きわめく俺を見ながら、


それでも嘘つきさんはそばにいた。

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