第50話 真相

 マックスの病院勤務最終日、朝礼で別れの挨拶が行われた。 しかし、マックスは終始うつむいた顔をしていた。


「……」


「ビル先生ちょっといいですか…?」


「ん… どうした…?」


 マックスとビル医師は屋上に行き、ベンチに座った。


「先生… 僕分からないんです…」


「どうして泰山さんは、自分の寿命を削ってまで、相撲をしたがっていたのか…」


「それに、なぜ…」


「先生は相撲を受けたんですか…?」


「……」


「それは… 簡単さ…」


「じいさんは相撲が好きだった…」


「俺はじいさんに誘われたから、相撲を取っただけ…」


「……」


「何だよそれ…」



「あんた医者だろ!! あんたがしたことわかってるのか!!」



「泰山さんはあの時相撲を取らなかったら…」


「まだ生きられたかもしれないのに…」



「人殺しじゃないか!!」



「……」


「スティーブ…」


「確かに、俺のやったことは、人殺しかもしれない…」


「けれど… 後悔はない…」



「あれは、…」



「じいさんが望んだこと…?」


「たとえ、泰山さんが望んだことでも、止めるのが、先生の役目じゃないんですか!?」


「……」


「スティーブ… 君は本当に優しい子だ…」


「確かに、君の言う通り、本来だったらじいさんを説得して辞めさせるべきだったのかもしれない…」


「けどな…」



「そんなことして、じいさんは幸せだったのか…?」



「えっ…」



「俺は本当に好きなことをできずに、ただ死を待つだけの生活は地獄でしかないと思うよ…」



「それに…」



「医者ってのは、その人をどうやって生かすのか決める義務はあるけれど…」



…」



「患者の人生を、医者が決めるのはいけないことだよ…」



 ……


 ぐすっ……


「泰山さんは、それで幸せだったのかな…?」


 マックスは、体を小刻みに震えさせ、涙を流し始めた。


「あー… 少なくとも俺は…」


「最後のじいさんの顔は幸せそうだった…」


「それに…」



「じいさんは、病気では死ななかった…」



「人間、好きなことしている時、何かに夢中になっているときは病気なんて跳ね返してしまうんだぜ…」



「スティーブもこれから旅を続けていくと思うが…」



…」



「……」


「はい…」



 ー翌日ー


「完全!! ふっかーつ!!」



「ほんと一次はどうなるかと思ったよ…」


「いやー… 色々とご迷惑をおかけしました!!」


「さっ!! 行こうぜ!!」


「うん!!」


 シンとマックスは町を後にした。


「夢中になれることを探していきな…」か…


 ふふっ…


「おっ… にやにやして、どうしたマックス…?」


「うん…? 何でもない!!」


 第50話 FIN

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ロックオン!!~巷で噂の俺yoeee系主人公~ 我(ウォー) @wo_syousetu

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