保護猫喫茶、ボスへようこそ。

遥 かなた

第1話 この村のボス。

あの日からこの村は変わった。

あの猫がこの村に来てこの村の猫達のボスに君臨して、そしてこの村の人間のボス、村長と出会って。


この村は何もない村だった。

ただただ、永遠に田んぼが広がるだけの村。

仕事もなく若者達は村から出て行ってしまい残っているのは老人と野良猫だけだった。

ただそんな野良猫達も餌を巡って喧嘩が絶えなかった。この村の野良猫達にはトップ、ボスが存在しておらずこの猫達を統率する者が居なかった。

そのためこの村は無法地帯となっていた。

喧嘩も絶えず人間に対してもやりたい放題で完全に人間の事を下に見ているようだった。

だが、それでもこの村の人々は猫に餌をやり猫が汚したものを掃除しいぇあげていた。


でも、ずっとそうだったわけではないのだ。

こうなったのは最近の事なのだ。

この村にもちゃんといたのだ。この猫達を統率するものが。

だが、今はいないのだ。だから、こうなってしまっている。

それがなければ彼女がこの状況を許すはずなどない。


帰ってきたとしても彼女が今まで通りに猫達を統率し続けられるかは分からない。

彼女が今ここにいない理由が理由だけに。

彼女は旦那さんが病気で入院することになり一緒について行ったのだ。

この村には病院も医者もいないから。


彼女は帰ってきた。

旦那さんは闘病の末、亡くなってしまった。

だから、帰ってきた。

彼女の娘は今は一緒に住んでおらず村を出て旦那さんと暮らしていた。

娘は一緒に住もうと言ってくれたが、彼女は断った。

「じいじとの思い出が詰まったこの家から離れたくない」

と。

だから、帰ってきた。

そしてこれからも彼女はこの家で1人生きていく。


そんな時、一匹の猫が彼女の前にふらりと現れた。

そして、そんな一匹の猫がさまざまな出会いをもたらし彼女を幸せで満たしてくれたのだった。


そんな1人の村のボスのお婆さんと一匹の新しくこの村の野良猫達のボスになった猫の物語。







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