4 静乃先輩の推理
「えっ、どうしてって……暑かったから、冷たいものでも飲みたいなぁって……」
「でも、注文したのはカレーよね。もっと汗が
「羽柴くんは、何らかの目的を持ってここに来た。私が、その目的を当ててあげる。まず、本当にお腹が痛いなら、おとなしく宿で休んでいるはずよ。カレーを注文したことからも、ここに来た目的を
静乃先輩は、犯人に
「
「ええー……犯行って……」
「でも、本気でカレーを食べたいなら、お腹が痛いなんて
静乃先輩はメニューをテーブルの
「文芸部のみんなと一緒に宿を出た羽柴くんは、映画研究部と待ち合わせている撮影現場に向かう途中で、この町に来たばかりの私を見つけた。私ひとすじの君は、私と二人きりになるために仮病を使って、みんなには宿に戻るとでも言ったんでしょうね。そして、まんまと一人になると、私のあとを
「ちょっと、その推理だと、僕がまるで
「違うの?」
「
「ストーカーね」
「そんな、違います。あっ、だから犯行犯行って連呼したんですか? 僕はただ、店内に友達がいるのが見えたから、
「それは私のことかしら? 私と君は友達ではなく、先輩と後輩の
けんもほろろに突っぱねられた。けれど、喫茶店で同席させてもらえる程度の
よって、友達としてはまだ認めてもらえていないなら、ここから先の
「静乃先輩。やめたほうがいいと思いますよ」
一瞬だけ、時が止まった気がした。冷めた眼差しが、
「やめるって、何を?」
「静乃先輩も、嘘をつきましたよね? 僕には、静乃先輩が何をしようとしていたのか、分かっています」
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