凡人でもできる!大手就活攻略法!

まーくん

実際に大手内定経験のある先輩が教えます!

 皆さんこんにちは!今日は私が実際に活用して、好きな業界の大手企業に見事内々定をいただいた方法をご紹介します!

 私自身、他の周りの人と比べて「特段秀でた点がある」と自信を持って言えることがありませんでした……。

 しかし、私も実践したこの方法があれば!

 業界大手と呼ばれる会社のどこかしらには間違いなく引っ掛かります!!!

 そのくらい自信を持って言える攻略法を、今日は皆さんに教えたいと思います!!!!!


 まずはいい大学に入りましょう!

 旧帝一工や早慶くらいのブランド力、何よりそこに入れるだけの地頭力は、就活以外にも大いに役立ちますよ!!


 え?


「凡人でもできる」って触れ込みの割に条件が重すぎる?


 ……ぇよ……





 うるっせえ~~~~~~~~よ!!!!!!!



 お前ら何?そんな都合のいい話あると思ってたわけ???

 あったらこっちが教えてほしいわ。努力は積み重ねるもんだろうがよ。

 昨日今日パッと「この業界いいな~」って思いついてそこに即入れたら今まで数多の人間が味わってきたそれより更に数多の挫折はどうなるんだよ。


 というかここからがスタートなんだぞ分かってんの???

 このメソッドこっから更に積み重ねてようやっと内々定もらえるかもだからな??

 っていうかなんだよ内々定って内定でいいだろ!!!!!内定の後より内密に定が来るわけじゃなく一回しか内定なんて来ないだろうがよ!!!!!これだから日本の就活は!!!!!!!


 あーあ。この後さらに自分の志望する業界がどんな人材欲してるか調べて自分がどこに適性あるか大学前半の2年かけて見極めつつ就活イベントは1年の頃から行ってアフリカに学校設立しながら部活の副部長を務めあげ何かしらの賞でメディアに露出するパートがあったんだけどな。全部語る気失せたわ。


 ……は?

「お前はどうなんだよ」?





 内定なんて出てるわけねえだろ!!!!!!!

 いい加減にしろ!!!!!





 大学はいいとこ行けたけどさ、それだって高校時代に強迫観念的に周りから「上位大学至上主義」押し付けられて気が狂いそうになりながら何とか手にしたものなんだぞ。それでいざ入ったら謎の流行病だぞ。もっと言えば「大いなる学び」に期待して色々なことを学ぼうとした結果GPAは低くなりコース配属ではこけて興味ない分野の単位落として今再履修中じゃボケ。





 この人生さ、

 どうすりゃいいんだよ。


 こっちが聞きたいよ。教えてくれよ。





 合格したとき親は笑顔でハグしてくれたよ。

 課題に追われて辛いときも全然辛くなくてゲームばっかやってたときも「頑張れ」って言ってくれたし、学費も出してもらってるよ。

 奨学金借りてはいるけど、返済にあたっても協力してくれるらしいんだ。


 なのに、いや、だから辛いんだよ。

 全部が辛くて灰色じゃない。

 プログラミングの勉強とか、ジェンダー学とか、アートとは何かとか、ゼミの仲間とか、得るものも多かった。そこは間違いない。


 でもそれだけじゃあ内定は出ないのが現実だよ。

 自分の人生が、たかだか数千文字のエントリーシートと30分程度の面接で「落選」の方に仕分けられる気持ちが分かるか?

 何ならエントリーシートだけで終わるレーンだっていくらでもある。


 そこで自分を伝える技術が足りないんだろうよ。

 伝えられる材料が足りないのが悪いんだろうよ。

「環境が足りない」じゃない。

「才能が足りない」でもない。

 そんなもののせいにするよりずっと前にやるべきことがあっただろ。


「努力が足りない」んだよ。


 今はこんなドス黒い感情を吐き出してるけど、

 いずれ自分だってどこかに内定がもらえたら、それこそこの記事のタイトル通りの内容の文を自信たっぷりに書くんだろうな。


 そういう自分の浅ましい部分まで全部分かってるから辛いんだよ。


 ある会社の採用担当曰く、今後の活躍をお祈りされてるらしい。

 祈られる側の神様になんてならなくていいから。


 認めてくれよ。

 一人の人間として。

 今までの人生を。





 ……ハァーッ。





 ……いいか?





 お前らはこうなるなよ。


 じゃあな。





 ―――――――――――――――――――――――


 今日の新聞の三面記事に、ある若者の自殺のニュースが載っていた。


「明るく活発で、とても世を儚むような子には思えなかった」と、

 朝の報道番組のインタビュー。

 親の悲しむ姿が高画質で公共の電波に乗せられる。


 センセーショナルな見出しのネット記事は瞬く間に拡散される。

「遺書に『日本の就活はゴミ』、大学生自殺」


 各地ではそれなりの議論が行われた。

 具体的に言うとテレビでは各番組が10分くらい。

 ネット上ではおよそ1日のトレンド入り。


 ネット記事にコメントを付けたものの中には、会社の採用担当者もいた。


 若者は遂に人生をかけて、面接官の心を掴むことに成功したのだ。


 まあ、彼に内定など出なかったのだが。

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