ごきげんよう、残酷で悲しく、けれどふたりの互いへの熱い想いが、静かで優しい、それだけに遣る瀬無くなる辛い別れでした。
ふたりがこの世で添い遂げられない運命を、風車だけが慰めてくれたんですね。
処刑の立会人も、はやてさんの見張りのひとも、そして風車を届けてくれたどなたかも、ひょっとしたら、勘解由さんの自分の命を盾にした思いに感づいていたのかも。いえ、はやてさんが勘解由さんを追いかける必死の姿を見て、思い合いながらもついに結ばれない悲恋を悲しく思ったのでしょう。
勘解由さんの、懐に差し込まれたはやてさんの愛情の温もりを感じながら詠んだ辞世の句に、涙を誘われました。
現世で涙の雫を零しながら眠る、武君と姫子ちゃん。
辞世の句通り、この世で再会できた二人。
やっぱり風車がふたりを繋いでくれたのだとしたら。
その風車が結ぶ縁が、姫子ちゃん変貌のきっかけということなんでしょうか。
可愛い桃子ちゃんが遂に一言も喋らなかった、本当に静かで悲しいお話でした。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
ご機嫌よう、いらっしゃいまし。
静かに穏やかに死んでいった勘解由のように、
静かに優しく回る風車のように二人の恋と愛が終わりました。
立ち合い人始め、様々な人々が何を感じ思ったかは
分かるべくも無い遥か昔の話ですが、おだ様が沢山のことを
感じて下さったことは私にとって嬉しいことです。
勘解由の最期の思いが、風に乗って風車と回って次の生で
巡り合わせてくれました。後は姫子のことですが、
それはもう大体分かってきたことでしょう。
ここで喋ろうものなら、桃子が首を刎ねられてしまいます。
そんなお話でした。
水棲虫。
思わず桃子ちゃんが手伝おうとしたところでホロリ。彼の辞世の句でやっと風車がキーワードだった理由がちゃんとわかった。廻る輪廻と風車のお話だったのですね……。わざとらしい見張りの演技とかせめて生きてほしいという叫びとか、いろいろな要素が泣かせてきますな……。
作者からの返信
コメントありがとうございます。
こういう時は、桃子の手放しでは褒められないながら
純粋な性格がよく出てますね。
風車も無意味な小道具で終わらずに済んで一安心です。
今回は悲しい巡り合わせとなりましたが、
人はみんな優しいものだというのは、
どうにか書き出せたのかもしれません。
辺理可付加