この物語の発端は、山中で発見された異常な死体だった。
発見された死体は、生きたまま腸を喰い荒らされていたのだ。
主人公にして「警視庁刑事局捜査課特殊事件対策室」の主任である高瀬も、一捜査員としてこの猟奇事件に関わっていく。
気性は荒く口も悪いが、根は優しい高瀬を取り巻くのは、美人だが行動力に溢れすぎているヒロイン遠子や、どこか抜けているがやる時はやる部下の柴田。見目麗しく紳士的だが、時折重いものを覗かせる法医学者の月見里。
そして忘れてはならないのが、もう一人の主人公といっても過言ではない高瀬の「家族」である大神千里と彼の女房役でもある大沢。本作随一の癒し役である大樹君。
これだけ個性的な登場人物が出てくるのに、各々が混ざり合わずにしっかりとキャラが立ってるのもこの作品の魅力の一つ。キャラクターを多方面から魅せつつも無理なく話が進み、読者の頭の中に映像が浮かぶような高い文章力も見事である。
だが、タグに「ホラー」「鬼」「パニック」と物騒な単語が並んでいることからも分かるように、恐ろしい場面もまた高い筆力で臨場感たっぷりに書かれている。レビューを読んで気になった方の中で、もしも心臓が弱い自覚がある方は読む際には注意が必要かもしれない。