第3話 もう1人のAI
「ねぇこの部品何でできてんの?」
アンドロイド制作に励むシロ達はその日も朝から工房でせっせと励んでいた。
シロが図面を指をさしてルウに尋ねると、しばらく考え込んだ後ちょっと難しい顔を見せる。
『それシェルター内部に備品として貯蓄されてるシェルター用の動力源だわ』
「え!?そんなの使って大丈夫なの?」
『それくらい高品質な物を使わないとこの優秀な私の素体は出来ないんだよぅ!それか今から錬金術師になって素材錬成して!』
「漫画でももう少し利口な発想してるわ」
『とにかく最深部に降りないと話にならないわね。シロ!ありったけの武器を持っていくわよ!』
「そんな危険な場所なのか?言ってもシェルターだろ?」
『何言ってんの?内部はクソみたいな人間共が入ってこない様にちょー強い警備ロボットがゴロゴロいるんだから。そうね、〇ルデンリングの高難度ダンジョン位の難易度かしら』
「一度も死ねない生身では信じられないほどの化け物難易度かよ。死しか見えないわ」
『大丈夫よ!私が居るんだから!こないだの偽装ロリ女が一瞬で死んじゃう状況だろうと完璧に守ってあげるから!』
「あれからしばらく経つのに大分根に持ってるんだな…」
シロが今まで作ってきた装置を置いてる部屋からアメコミヒーローの様なパワーアシストを実現…しようとしたが動力の出力不足で想定のパワーを発揮できない外骨格スーツを引っ張り出してきて細々と装着していると、ルウの話し声が聞こえてきた。
『ねーシエルー?起きてるー?』
『んー?あっ!ルウちゃんだ〜。どうしたの?こんな朝早くに珍しいね』
『ちょっと色々あってさ〜、シエルの予備動力源譲って欲しいのよ』
『んー?まぁ…』
「ちょ、ちょっとまって!一体誰と話してるの!?」
慌てて話し声の聞こえる方にシロが駆け寄ると、いつもルウがいるデバイスの画面の中にもう一人女の子が居ることに気がついた。
「?????????」
『あ〜!貴方がシロちゃんね?ルウちゃんからいっつもお話聞いてるよ〜?』
「あ、はい。水瀬シロです。よ、よろしくお願いします」
『あははっ!シロってばガチガチじゃん!こないだ話してたでしょ?シェルターのAIと友達だって』
「え、じゃあこの人が?」
『はい!管理番号931—海底シェルターのシエルだよ〜。よろしくね!』
そう言ってぺこりと頭を下げて見せたシエルとルウを並んで見たシロは思わず姉妹なんじゃないかという印象を受けた。
ルウが子供っぽい見た目ならシエルはその真逆だった。空色の綺麗な髪を短く切りそろえ、おっとりとしたタレ目と優しそうな表情が特徴の圧倒的なお姉さんスタイル。
加えて胸もルウの何倍もふくよかで、今も暇を持て余したルウを抱きしめている。
(うっ、羨ましい…)
『あっ、今羨ましいと思ったでしょー』
「ふぇ!?い、いや!そんな!」
『ちょっとー?私には1回もそんな表情した事ないじゃん!』
「んん!?」
慌てて手で顔を覆うシロを見て二人はお腹を抱えて笑い転げる。
『あ〜、ルウちゃんが夢中になるのも分かるかも』
『でしょー?この子ほんとに可愛いんよ〜』
『でも、それだと尚実際に触れ合えないのはもどかしいね』
『でしょー?』
ルウは胸を張ってドヤっと聞こえてくるようなドヤ顔でシエルに宣言した。
『そこで私達AIが実際に外で活動できるようにアンドロイドを作ろうとしてるんだよ!』
『おーー!じゃあ私の動力源が必要なのはもしかしてそれ?』
『御明答!!結構パワーが必要みたいでさぁ。一応作ることも出来るんだけど、それだとすっごい時間かかっちゃうじゃん?』
『ふ〜ん?じゃあ私の動力源を譲ってあげる代わりに1つ取引しようよ』
『うん?』
シエルはルウの柔らかそうな唇を人差し指で押さえるとシロに向かって笑いかけた。
『そのアンドロイド、私の分も作ってくれないかな?そしたら幾らでも譲ってあげるよ』
という事で成り行きでシエルの分の素体も作ることになったのだった。
アクアルミナス〜AI少女のお姉ちゃんと地上への帰還を目指します あるみす @Arumis
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。アクアルミナス〜AI少女のお姉ちゃんと地上への帰還を目指しますの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます