1ー2
『父よ、彼は、ビビっております。どうぞ…今は、控えめに…』
彼の腹下から出てきたのは、小さな御子でした。
父親似と言えば父親なんだろうが、何か、嗅いだ事のある匂いがする。
『困りましたね。私は、裏か、表を聞きたかっただけなのに…。妹が、目覚めなければ…無理ですか』
『その…父、は…』
『あぁ、その事に関しては、秘密だと、教えましたよ慧龍(けいりゅう)』
急に、走る緊迫感。
な、何だ?
この、妙に感じる違和感。
『黄龍』とは、こいゆう感じだっただろうか。
『…っ』
『京の掟、第八ヵ条』
『如何なる時も、御上の側を離れず、常に、都を、見守る事…。貴船に逐わす高淤神の見事な舞を見ながら…自身も、龍神の神子としての自覚を持つ事だと、他各々…』
あれは、常に言われている言葉なのか。
京の都は、確かに、龍脈も、通っているし。水にも恵まれている。
だけど、幼子に、教えるべきなのか。
『あの…何か、勘違いしていませんか』
『-…えっ…』
『彼女、つまり、私の娘、これでも、十三祝い過ぎているんです。事情がありまして、私と、行動していますが』
驚いたのは、言うまでもない。
あっけらかんに、丁寧語に、戻っている。
しかも、私の思考を読んだ…。
それは…。
幼子に見えるから、五、六歳ぐらいに。
-…見える。
あぁ、顔が、中性的なのか。
どうりで、性別が判別出来ない。
さっきから『娘』とは、言っているが『息子』に見える。
桜木漏れ日ー君が想う、華の季節 黒薔薇 隗斗(こくふうび かいと) @rizuya25
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